役員報酬はいくらが妥当か?②
経営にはマサカの坂が必ずやってきます。
想定外のマサカの坂に備えて、
経営者にはお金を貯めておいていただきたいと申し上げました。
経営者のなかには、マサカの坂に備えて銀行からできるだけ借りておこうと考える方がいます。しかし、それは結局、借金なのです。
銀行に返済しなければいけません。
まして、会社がピンチのときに限って、銀行は早く返せと、
冷たく迫ってきます。
マサカの坂に備えるなら、当座貸越契約を結んでおけばよいのです。
必要以上の借金を増やすのは、愚の骨頂です。
「自分のことより、家族のことより、会社が一番だ。」と考えている経営者は、経常利益が1億円でも、月額報酬は100万円にも満たない方も多くいらっしゃいます。
そうした会社は、確かに堅実に成長してゆくでしょう。
一見すると、こういう経営者は、なにも文句のつけようのない素晴らしい経営者だと思えます。
しかし、実はこれでは困るのです。
この経営者は困りませんが、後継者、ひいては、会社が困るのです。
「自分の報酬はほどほどに。それよりも会社にお金を残したい。できることなら無借金にしたい。」
そのように考えて行動する経営者、後継者、家族、ひいては会社には、将来何が起こるでしょうか。
当然ですが、その経営者もいつかは鬼籍に入ります。
そのとき、会社の株式はどうなっているか。
株価はグングンと高騰しているでしょう。
会社がかわいくて仕方のない創業者は、
後継者に対して「お前にはまだ会社は任せられない」と、
株式承継を先送りしつづけ、その日を迎えてしまいます。
あるいは、ある日突然に創業者が急逝する、事故でなくなる場合もあるでしょう。
残された後継者、家族に残された相続財産は、高騰した株式と僅かな現金のみです。
「お父さんには、もっと現金があるでしょう。」と家族が思っても、現実にはないのです。会社の財産を蓄えることに一所懸命で、自分の財産を貯めることは二の次だったのですから。
その結果、家族には相続税を支払うお金がない、ということになります。
(福岡雄吉郎)
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