過剰からの脱却 ①
中小企業の決算書を拝見していると、
「もっと減らしなさい!」
というものが多くあります。
過剰なのです。
過剰であることが、財務を蝕んでゆくのです。
①在庫の過剰
経営における過剰の代名詞といってよいものが、“在庫”です。
“在庫は諸悪の根源”
とわかっていても、在庫を増やしたがるのです。
「結局、現場が在庫を持ちたがるんですよ。」
先日、ある経営者が言いました。
欠品を起こしたくないが故、在庫が増えるというのです。
現場の者には、資金繰りの概念がない人が多いです。
“在庫は多いほうが便利”という感覚なのです。
そのような人たちに、
在庫管理を任せっぱなしにしてはいけないのです。
また、
「うちは多品種少量なので、
在庫アイテムが増えるのは仕方がないです。」
という経営者もおられました。
動かないことはないけど、時々しか動かない在庫が多いです、
というのです。
常に、月商の数倍もの在庫を抱えているのです。
当然、運転資金が増え、短期借入金が多いのです。
その後、その会社では、
過剰な動かない在庫を売却するための、子会社を作りました。
その子会社に、過剰在庫を売却したのです。
売却価格は、在庫金額の約10%です。
銀行でも、不良債権はサービサーへ約10%で売却するのです。
それと同じなのです。
「売ったら使うときはどうするんですか?」
と、最初は気にされていました。
「使う時は、使う分だけ、
その子会社から仕入れればいいんですよ。」
置場も元のままで、子会社に場所を貸している形にしたのです。
伝票処理だけ、子会社を通す形に変えたのです。
財務面では、
過剰在庫を売却したことで、棚卸資産売却損を計上しました。
その分、特別損失が増えて、税引き前利益を減らすことができたのです。
結果、法人税が減ってキャッシュアウトも減り、
短期借入金を減らせたのです。
つまり、財務体質が改善されたのです。
過剰な在庫がある場合、廃棄や売却など、
何らかの具体策で処分しない限り、在庫は格段には減りません。
その策は、経営者でなければ決断実行できないのです。
在庫が過剰ならば身軽にし、財務体質を引き締めてほしいのです。
(古山喜章)
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