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2021年8月16日 (月)

過剰からの脱却 ①

中小企業の決算書を拝見していると、

「もっと減らしなさい!」

というものが多くあります。

過剰なのです。

過剰であることが、財務を蝕んでゆくのです。

 

①在庫の過剰

 

経営における過剰の代名詞といってよいものが、“在庫”です。

“在庫は諸悪の根源”

とわかっていても、在庫を増やしたがるのです。

 

「結局、現場が在庫を持ちたがるんですよ。」

先日、ある経営者が言いました。

欠品を起こしたくないが故、在庫が増えるというのです。

現場の者には、資金繰りの概念がない人が多いです。

“在庫は多いほうが便利”という感覚なのです。

そのような人たちに、

在庫管理を任せっぱなしにしてはいけないのです。

 

また、

「うちは多品種少量なので、

在庫アイテムが増えるのは仕方がないです。」

という経営者もおられました。

動かないことはないけど、時々しか動かない在庫が多いです、

というのです。

常に、月商の数倍もの在庫を抱えているのです。

当然、運転資金が増え、短期借入金が多いのです。

 

その後、その会社では、

過剰な動かない在庫を売却するための、子会社を作りました。

その子会社に、過剰在庫を売却したのです。

売却価格は、在庫金額の約10%です。

銀行でも、不良債権はサービサーへ約10%で売却するのです。

それと同じなのです。

 

「売ったら使うときはどうするんですか?」

と、最初は気にされていました。

「使う時は、使う分だけ、

その子会社から仕入れればいいんですよ。」

置場も元のままで、子会社に場所を貸している形にしたのです。

伝票処理だけ、子会社を通す形に変えたのです。

 

財務面では、

過剰在庫を売却したことで、棚卸資産売却損を計上しました。

その分、特別損失が増えて、税引き前利益を減らすことができたのです。

結果、法人税が減ってキャッシュアウトも減り、

短期借入金を減らせたのです。

つまり、財務体質が改善されたのです。

 

過剰な在庫がある場合、廃棄や売却など、

何らかの具体策で処分しない限り、在庫は格段には減りません。

その策は、経営者でなければ決断実行できないのです。

在庫が過剰ならば身軽にし、財務体質を引き締めてほしいのです。

 

(古山喜章)

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