株主の高齢化が悲劇をもたらすこともある③
最近、中小企業の株主構成の内訳に、
80歳前後以上の高齢者株主が増えてきました。
お元気なのは何よりなのですが、
事業承継対策で株式を手放してもらおうとすると、
なかなか手ごわい株主になってしまうことが多いのです。
③とにかく手放したくない
非上場の中小企業における高齢者株主の場合、
その多くの方は、経営にまったくかかわっていません。
“祖父から兄弟均等にわけてもらった”
“主人が亡くなって相続で受け取った”
など、何らかの理由で株式の意味もよくわからずに、
持っているのです。
株主の整理を進めてゆくうえで、
なかなかやっかいなのでが、このような方々なのです。
後継者や会社が買い取る、ということを提案しても、
かたくなに
「手放すのはいや」と言い張る方が時々おられるのです。
その理由もさまざまです。
「これはお父さんが遺してくれた形見だから、手放すわけにはいかない!」
「年金以外に、配当金が振り込まれるのが楽しみだから、手放さない!」
「この株は私が死んだら孫にあげることにしている!」
「おしゃれして株主総会に出席するのが唯一の楽しみだから、売れない!」
「人から言われて売るのはイヤ!」
「株主、という存在でありたい!」
「老後を考える年齢になってから検討します!」
等々、80歳代恐るべし、という理由が飛び出してくるのです。
その反面、どこかに
「もっと大切にあつかってほしい」
「もっと自分の存在を気にしてほしい」
「へんに年寄り扱いしないでほしい」
という高齢株主の密かな想いを感じることも、しばしばなのです。
特に、その方々と後継社長が少し疎遠になっているときに、
このような事例が勃発することが多いのです。
“非上場企業だから株主を意識することはない”
といっても、整理が近づいている株主とは、
すこし親密な関係を築いておいてほしいのです。
いざ買い取る段階で困るのは、結局、後継社長なのですから。
(古山喜章)
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