株主の高齢化が悲劇をもたらすこともある①
最近、中小企業の株主構成の内訳に、
80歳前後以上の高齢者株主が増えてきました。
お元気なのは何よりなのですが、
事業承継対策で株式を手放してもらおうとすると、
なかなか手ごわい株主になってしまうことが多いのです。
①コロナ禍で会えない
ある会社で、後継者の母親である、
80代後半の女性が株を30%保有していました。
残りの70%はすでに後継者が株を持っています。
先代からの相続で、母親も株を持っていたのです。
後継者が70%を保有しており、支配権もあります。
しかし株価が高く、母親が30%を持ったままだと、
かなりの相続財産に評価されてしまうのです。
そこで、種類株式の活用と一部は会社での買取で、
母親が保有する株をなくそうとしたのです。
「母親に会えないんです!」
と、後継者から連絡が入りました。理由を聞きました。
「介護施設に入居しているんですが、コロナで面会出来ないんです!」
感染対策で家族との面談をシャットアウトしており、
母親に会って、株を手放すことを説明しようにも、
いつになったら会えるのか、メドがたたない、というのです。
「とりあえず、緊急事態宣言が明けたときに検討します、
て施設の方が言うんですが、こっちは心配で仕方がないです!」
まさかこんなことになるとは思っておらず、
いつでも母親にお願いして株対策を進めればよい、
慌てることはない、くらいにしか考えていなかったのです。
これもマサカの坂、なのです。
会えないとなると、説明もできないし、
署名・捺印など、手続きを進めることもできなくなります。
何より、
“もしも感染してそのまま亡くなったら…。”
“会えないうちに、逝ってしまったら…。”
と思うと、その後継者は気が気でなく、
大切な本業に集中できない状態に陥っていたのです。
結局、緊急事態宣言が明けた折にようやく会うことができ、
予定していた対策を無事に進めることができたのです。
しかし、その後また緊急事態宣言に入り、
以前と同様に会えない状態に陥りました。
「とにかく会える時に進めれてよかったです。ホッとしました。」
とは、後継者の言葉です。
高齢者でなくても、株対策が必要な株主がコロナ感染で入院、
となると、対策は停滞に陥ります。
だから、先延ばしにせず、
できる株式対策は、早めに取り組んでほしいのです。
(古山喜章)
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