現金が過剰な会社の共通点 ④
「現金も在庫と同じ。過剰に持つな!」
と言い続けております。
それでも決算書を見ると、
過剰な現金を持つ会社の多いこと。
その会社の経営者の方々には、
共通するいくつかの点があるのです。
④銀行の環境変化を知らない
「銀行は簡単にお金を貸してくれない」
こう思い込んでいる経営者が、いまだにおられます。
年齢で言えば、60歳代後半以降の経営者に多いです。
その方々は、バブル期やそれ以前の銀行との取引を知る世代です。
そしてその時代に、資金調達でたいへんご苦労をされた世代、
と言えます。
その当時、日本経済はあらゆる面で右肩上がりでした。
需要は旺盛で、各企業は投資や事業拡大をどんどんしました。
それだけ、
資金需要が多く、銀行のお金が足らなかったのです。
不足しているお金をほしがる企業が多くあるのですから、
貸し手である銀行が優位になるのは当たり前です。
格付けなど関係なく、
銀行のさじかげんで、どの会社に貸すのかを決めていたのです。
さじかげんの判断は、銀行に協力的であるかどうか、
だったのです。
とにかく銀行に頭の上がらない中小企業の経営者が多かったのです。
しかし、今や時代は完全に変わりました。
お金が余っているのです。
直近公表されている7月データでも、
銀行全体の預金残高は約830兆円であり、
ここ数年、増え続けているのです。
空前のカネ余りなのです。
つまり、
銀行を取り巻く環境は、バブル期とは真逆です。
借り手が少なく、お金が余っている。
ということは、圧倒的に借り手優位の時代なのです。
なのに昔の感覚で、
「銀行に嫌われたらおしまい。」
「銀行からのお願いを断るわけにはいかない。」
と信じている経営者がおられるのです。
その結果、必要のないお金を借りて、
過剰な現預金を抱える状況に陥っているのです。
そのような経営者は、銀行にとっては最もありがたい存在です。
金利を下げる必要もなく、担保・個人保証も
取り放題なのですから。
中小企業にとって、資金調達は生命線です。
その手段のひとつとなる銀行業界の現状を正しく認識しておかないと、
中小企業は大いに損をしてしまうのです。
(古山喜章)
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