借入金に頼らないボストンF株式会社 山下社長
スポーツ用品メーカーの(仮称) ボストンF株式会社の山下 洋一(仮称)社長は、アパレルメーカーが苦戦している中で、30数年、コツコツと地味に業績を上げて、借入金もなく、財務体質の強い会社を築いておられます。
社長に質問をしました。
「なぜ、御社はこんなに銀行借入金のない財務体質の良い会社にされたのですか?」
「実は、35歳でこの仕事で会社を興したのですが、最初から無借金でやってきたからです。父母や知人、友人から資本金を搔き集めてスタートしました。幸いなことに材料メーカーも皆、支払いは2か月後にしてくれましたし、回収も〆後30日でお願いし、手形は受けず、わが社の条件で、ダメと言われた小売り店には卸しませんでした。
多く売るより、個性のある良い商品を売り切ることを考えて、毎年、毎年 新しい商品を出し、3年以上の商品は廃番にしていったのです。
井上先生の言われる 『売り切れは美徳、売れ残りは嫌悪』 と思って、粗利をきっちり取るということにしていきました。
この考え方は、実は父の口癖からなんです。
『借金はするな! 商人は信用が第一やからな、借りたら約束の前日までには 返せ』 といつも言っていました。
実は、生家は「質商」をやっていたのです。
質商というのは 質草(良物,カメラとか担保物)を持って、現金を借りるのです。昔は、月9%で 3カ月以内に返さないと質草は流れてしまいます。
近くに大手家電メーカーの工場があり、若い行員や商売人が月の半分頃に 借りにきて、次の月の月末には給与が入ったのか、返済しに来るのです。
真面目な顔をした人が多く来ていたように思います。
しかし、毎月 来る人がいるのです。私は不思議でした。良く 借りるもんだな~~と
私は、年にしたら 9%×12か月 年率にしたら108% 借りた金額と同じ金利を支払う。年間で考えたらエライことになるのですが、なぜ、質屋が繁盛するのかと不思議でした。
父も母も言っていました。 「良く来るお客様には 『貯め癖』 がないんだよ! 遊ぶこと、かけ事の好きな人は 『今』 金が要る。
貯めてから遊べばいいのにそれが出来ない、可哀そうな人なの。人様から金を借りてしまう事が何とも思わなく、安易に借りるようになったら、その人の一生は ほとんど『貧しい人生』を送ることになるんだよ。
『洋一』 お前はそんな人生を送るなよ!
給料の10%は 最初からないものと思い貯金して、90%のお金で生活するんだよ! とよく言われてました。
生家は、私が25歳になるまで質業をやっていましたが、その間に中小企業の社長の奥さんが裏口から多くの呉服を持って換金に来ている姿も目にしました。
私は、幸いに少ないが集めた資本金もあったので、一度も銀行からの融資は受けずにこれました。借りようにも銀行は相手にしてくれませんでした。昔は、そう簡単に銀行は、担保や保証人がないと貸してはくれませんでした。
身の丈にあった規模で今日まで、大手アパレルのような規模を追いかける事はしませんでした。
今日では、海外から買い手が来るようになりました。50年近くなりますが、多くの仲間やライバルはいつの間にか 消えてしまっています。
2人の後継者には 『借金はするな!』 『無理して大きくするな!』
先生のいうキャシュフロー経営で行けと厳しく言い聞かせています。」
と話をしていただきました。
『商売するには 銀行から借金しないとやっていけない』 という人がいます。
果たして正しいでしょうか?
借金せずとも利益を上げ、売上を上げる方法はないでしょうか?
前述の山下 洋一社長のように、出来る限り、借りないでやっていこうと思って、商売するのと他人の懐を頼りにするのでは、当然違いがあるのです。
(井上和弘)
« 本業以外の出資に気をつけなさい⑤ | トップページ | 決算対策セミナー 開催します »
「経営」カテゴリの記事
- 百聞は一見にしかず⑤(2023.09.29)
- 百聞は一見にしかず④(2023.09.28)
- 百聞は一見にしかず③(2023.09.27)
- 百聞は一見にしかず②(2023.09.26)
- 百聞は一見にしかず①(2023.09.25)
コメント