なぜ今も個人保証がなくならないのか①
繰り返しますが、個人保証は外せます。
それでもなお、
銀行から求められると受けてしまう経営者が、
多くおられます。
それはいったいなぜなのか、考えてゆきます。
①なぜ、銀行は個人保証をとらなくなったのか。
かつて、銀行からお金を借りるために、
社長が個人保証をするのは、当り前でした。
特にバブル期以前に経営にたずさわり、
個人保証は当たり前、金利が7%~8%は当たり前、
という時代を経験している現役経営者は、
今もそれが当然だと思い込んでいます。
ではなぜ、個人保証がなくても銀行は、
お金を貸すようになったのでしょうか。
デフレ期に入った、ということもありますが、
それだけではありません。
バブル崩壊後の1997年に大蔵省が解体され、
金融監督庁として生まれ変わったのが1998年です。
そして名称変更し、現在の金融庁に至ります。
金融庁となって、
現在の格付け(スコアリング)が導入されました。
バブル期に大量発生した、不良債権を撲滅すべく、
融資先の財務状況を点数化する方式に変わったのです。
これはもう、大転換だったのです。
財務状況が良いか悪いか、
貸す前にはっきりさせる方式に変わったのです。
以前、大蔵省時代の銀行融資にも、格付けはありました。
が、それはかなり、いいかげんなものでした。
銀行担当者の一存で貸し先を点数化し、ランク付けをしていました。
そうなると、財務状況も何も必要ありません。
銀行担当者が社長を気に入るかどうか、でどうにでもなったのです。
融資先の財務状況など気にせず、個人保証さえとっていれば問題ない、
というのが銀行のスタンスだったのです。
それが、現在の格付け(スコアリング)制度に変わったのです。
財務状況の良し悪しを銀行が明確に把握して、
お金を貸す形になったのです。
そうなると、銀行にとって、
「この会社は財務状況が優秀で返済能力になんの心配もない。」
ということが、はっきりし始めたのです。
貸す側から見た、安全の度合いが、
はっきりするようになったのです。
しかも、バブルが崩壊してデフレに入り、
お金の需要がめっきりと減りました。
お金を貸す側が、融資先から選ばれる時代へと変わったのです。
そうなると、お金を貸す側の条件も、ゆるくなり始めました。
「財務状況に何の問題もないこの会社なら、
個人保証なしで貸しても大丈夫だろう。」
現在も使われる格付け(スコアリング)を元に、
個人保証をとらない、というケースが出始めたのです。
それが今の、個人保証なしで融資は受けれる、
という時代の始まりです。
この、銀行の大転換を理解していない経営者は、
今も遠い過去のやり方に、縛られたままなのです。
現在とは真逆の過去を知る者は、まずこの大転換を知ることから、
スタートしないといけないのです。
(古山喜章)
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