なぜ今も個人保証がなくならないのか⑤
⑤古い経験に基づく価値観から抜け出せない
個人保証のみならず、金利にせよ、担保にせよ、
今から30年以上前の経営環境を体験した方は、
現在の銀行事情を理解されないケースが多いです。
だから、
「お金を借りるのに個人保証は当たり前だろう」
「金利が2%なんて、8%だった時に比べたらタダみたいなもの」
「担保なしで借りれるなんてありえない」
などとなるのです。
経営環境は時代に応じて変化します。
あの頃と今とは、価値観が違うのです。
「昔はそんなこと、当り前だった」
といって、古い価値観から抜け出せないのです。
セクハラやパワハラ、ブラックで訴えられるのと同じことです。
世の中の変化に、自分自身の価値観をアップデート、
更新できていないのです。
しかも、年齢を重ねるほど、そうなりやすいです。
新たな価値観を知り、自分の価値観を変えるには、
それなりの継続的努力が必要で、しんどいからです。
とはいえ、経営は常に今現在なのです。
経営者は今現在の価値観に合わせてゆかねばならないのです。
個人保証を外せないのは、いわば老害です。
老いるショックなのです。
今回のブログに、読者から次のコメントをいただきました。
“私はピーク時に20億円以上の個人補償をしましたが、
2015年に個人保証を外しました。
銀行への定期的な業績報告(決算報告、半期、四半期、書面と面談)を行い、財務体質を強化し、2014年から個人保証を外す交渉をし、2015年に全て外しました。
その際に、私が会社に貸している土地を会社に売却し、会社と経営者との間の関係をクリアにしたことも効いたようです。”
貴重な体験コメント、ありがとうございます。
いかがでしょうか。
一年かけて交渉し、全ての個人保証を外されたのです。
かなりの労力、精神力、体力を要したことと察します。
ご立派だと思います。
トップだけが古い価値観にとらわれると、その会社は悲劇です。
その古い価値観で経営が行われ、残るはずの利益が流出し、
経営者自身がリスクをかぶったりしているのです。
若き経営幹部たちは、
気づいていてもトップには何も言えない、
という状況も生じるのです。
経営に携わるのなら、
自らの価値観をアップデートし続けるべく、
日々の行動を積み重ねてほしいのです。
(古山喜章)
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