株式はなぜ、思わぬ方向に分散してしまうのか①
“分散した株式をどうすればよいのか…。”
という悩みをお持ちの経営者が、ICOには数多く相談に来られます。
その際、買い戻す前にまず、
なぜそうなったのか、をお聞きします。
そこには、さまざまな理由が現れてくるのです。
①兄弟は平等に扱わないといけない
高級ブランド、グッチ家の崩壊を描いた映画
「ハウス・オブ・グッチ」が現在公開されています。
株式をめぐる身内の争い、親子ゲンカ、兄弟ゲンカ、
強欲な嫁、投資会社とのかけひきなど、
どこかで聞いたことのあるような話しが全編に現れます。
グッチ家の場合、トラブルの原点は、
創業者が会社を継ぐ兄弟に株式を50%ずつ、
相続したことから始まります。
グッチ家同様、
“子供達には平等に分け与えなければ、もめる元になる。”
という発想による株式トラブルは、最もよくある悪い事例です。
かつて、
「4人兄弟で株式が等分に分散して困っています。」
という社長の相談を受けました。
最初に、なぜそうなったのか、お聞きしました。
「私の父が戦前の生まれで、こう言うんです。
“バナナ1本でも、兄弟均等に分けなければ大ゲンカになった。
だから、株式もケンカにならないよう、4人均等にわけたんだ。”」
とはいうものの、バナナと株式は違うのです。
財産だけでなく、議決権までが4等分に分散されると、
ひとりでも非協力的な兄弟がいると、
それだけで、スムーズな意思決定の妨げになり、
買い集めも簡単には進まなくなるのです。
このような発想の根底には、
兄弟均等にしないと、かわいそうだから、
という親心がどこかにあるのです。
しかし、“かわいそう”というのは、情の話しです。
情で株式を分けると、それこそ大きなトラブルの元なのです。
たとえ兄弟が均等に株式を持つとしても、
議決権は社長となる長男だけで、他の兄弟は無議決権の株式にする、
などの方法があるのです。
こうすれば、少なくとも支配権は、長男の元にあり、
会社の意思決定で困ることはありません。
しかし兄弟の関係が少しでもこじれてしまっては、
このような対策も、思うようには進みません。
だから、兄弟で分散している株式があるのなら、
こじれる前に、お互いに相談して、対策を進めておきたいのです。
(古山喜章)
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