なぜ、税理士は反対するのか ④
「総資産を縮めなさい!」
「特別損失を増やして営業利益を増やしなさい!」
と言い続けております。
ところが実践しようとした社長からは、
「税理士が反対しています…。」
といった回答の返ってくることが、いまだに多いのです。
④それは特別損失にはできない
特別損失を増やしなさい、と言い続けております。
販売・一般管理費に計上している経費を、
正当な理由のもと、特別損失に計上することを指導しています。
そうすれば、営業利益が増えるからです。
営業利益は、銀行が最も重視する利益です。
銀行が返済能力を見るのは、営業利益+減価償却費 です。
銀行は、本業の利益である営業利益がどうなっているのか、
で返済能力を掴みたいのです。
つまり、銀行は営業利益が大きい会社を高く評価するのです。
銀行の評価が高ければ、格付け(スコアリング)も高くなります。
融資を受ける際、金利、担保、個人保証など、
高い格付けになるほど、条件交渉をするのに有利なのです。
だから、営業利益を可能な限り、増やしたいのです。
そのためには、
“この費用は特別損失にできるな”
という経費を特別損失に計上したいのです。
例えば、ある会社で、
販売管理費で計上していた、災害復旧のための修繕費を、
特別損失に振り替えてもらおうとしました。
災害復旧は通常の修繕費とは異なり、特別なケースだからです。
すると、
「そんなことをしても税金は一緒なので、販管費のままでお願いします。」
と税理士事務所から返事がきました。
そんなことは、わかっているのです。
節税したいのではなく、銀行の評価を高くするべく、
営業利益を増やしたいのです。
税理士事務所は、税金の目線だけで、銀行の目線がわからないのです。
その事情を説明すると、今度はこう言われました。
「うちのシステムには、特別修繕費という勘定科目がないんです。
だから、なんとか今のままでダメでしょうか?」
結局、システム上で新たな勘定科目を作るのが、
面倒くさいだけだったのです。
その後、社長から税理士事務所へ、
「うちにとっては大事なことなので、対応できなければ
顧問契約を解消して、よそにお願いします。」
と言ってもらい、ようやく応じてもらえたのです。
この事例のように、
こちらから何も言わなければ、自分たちのやりやすいよう、
決算処理をされてしまうのです。
それでは困るのです。
それを正すためにも、決算書を活かすための、
正しい知識を経営者にはもっていただきたいのです。
(古山喜章)
« なぜ、税理士は反対するのか ③ | トップページ | なぜ、税理士は反対するのか ⑤ »
「節税対策&決算対策」カテゴリの記事
- なぜ、期ズレが起こるのか?⑤(2025.10.10)
- なぜ、期ズレが起こるのか?④(2025.10.09)
- なぜ、期ズレが起こるのか?③(2025.10.08)
- なぜ、期ズレが起こるのか?②(2025.10.07)
- なぜ、期ズレが起こるのか?(2025.10.06)

コメント