株式はなぜ、思わぬ方向に分散してしまうのか②
“分散した株式をどうすればよいのか…。”
という悩みをお持ちの経営者が、ICOには数多く相談に来られます。
その際、買い戻す前にまず、
なぜそうなったのか、をお聞きします。
そこには、さまざまな理由が現れてくるのです。
②発起人が7人必要だったから
かつて、株式会社の設立には、7人の発起人が必要でした。
そのため株主が少なくとも、7人存在してたのです。
とはいえ、多くは大株主がお金を出して名前を借りるだけの、
いわゆる名義株主でした。
1990年の商法改正で、
発起人が7人必要、という制度は廃止されました。
しかし、だからといって、
名義株主が自動的に消滅するのではありませんでした。
法的な手順に応じて、
会社が名義株主から株式を買い戻す、あるいは、
誰かが名義株主から買い受ける、ということが必要なのです。
ところが、このような処置がされておらず、
いまだに名義株主の名残りに出会うケースがあるのです。
往々にしてもめるのが、
「名義株主になってもらった当時の記録が残っていないです。」
というパターンです。
記録はなく、個々の記憶だけなのです。
名義株主にお金を渡した大株主は、
「株のお金は自分が出しました。」と言います。
一方、名義株主の当人は、
「お金は自分で出したはずだ!」と言います。
金銭消費貸借契約書も何らかの覚書も、残っていないのです。
こうなると、どこまでいっても水掛け論です。
真偽はともかく、このような状況に陥ったならば、
素直にお金を払って買い戻すことです。
なんだかんだ言っても、ながらく株主であり続けて、
何の文句も言わなかった方なら、なおのことです。
それなりのお金を出して、会社が買い戻すなり、
すればよいのです。
それをケチろうとするから、
またトラブルに発展してしまうのです。
安易に買い戻せない、高額の株価になっているのなら、
別の対策が必要になります。
が、そうでもないのなら、
相手が納得できる価格で買い集めたほうが、
余計なエネルギーを使わずに、その後のことに注力できるのです。
(古山喜章)
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