なぜ、税理士は反対するのか ①
「総資産を縮めなさい!」
「特別損失を増やして営業利益を増やしなさい!」
と言い続けております。
ところが実践しようとした社長からは、
「税理士が反対しています…。」
といった回答の返ってくることが、いまだに多いのです。
①不動産の売買価格は鑑定評価どおりでないといけない
土地・建物が含み損を抱えている会社がありました。
「この機会に子会社へ売却して含み損を吐き出しましょう。」
と指導し、土地・建物の売却を実践することになりました。
いわゆる、オフバランスで総資産を縮める、
ということに着手をしたのです。
不動産鑑定士に依頼し、土地・建物を鑑定評価してもらいました。
鑑定評価の価格が仮に1億円だったとします。
さらにその鑑定評価額を元に、15%下げて、
8500万円で子会社へ売却することにしました。
オフバランスの目的からすれば、できるだけ安く売りたいのです。
簿価との差額が大きいほど、
売却損が増えて、税引き前利益を下げれるからです。
すると社長から、
「税理士が反対しているんです。」と連絡が入りました。
「どうして反対しているんすか?」
「鑑定額よりも下げてはいけない、
鑑定額どおりでないといけない、と言うんです。」
とのことだったのです。
その税理士先生に、
なぜ、鑑定額よりも下げてはいけないのか尋ねると、
「なんの理由もなく下げるのは不自然で、否認されかねない。」
とおっしゃるのです。
結局、その税理士先生からは、
「価格を下げる理由が10個以上あればいいでしょう。」
となり、10個以上あげて無事に売却したのです。
しかし、不動産を売る会社と買う会社があれば、
その2社間で、鑑定額を基準に交渉するのは当たり前です。
交渉の過程で鑑定額よりも10%~15%、
売買価格が前後するのは普通のことなのです。
森友学園の事件のように、
鑑定額から8割下げて、2割で売買するから叩かれるのであり、
10%~15%程度の値下げなら、問題ないのです。
それを、税理士先生は反対します。
このような例では概ね、
その税理士先生はオフバランスを経験したことがない、
経験はあるが鑑定額どおりでしか売買したことがない、
というパターンです。
要は、経営者が求めるようなオフバランスの経験がないのです。
「鑑定額通りでも損が出るのに、それより低いと否認される可能性がある、
だから価格を下げるのは危険だ。」と考えるのです。
とにかく
「否認されるかもしれない」ということを気にされるのです。
その対策として、
鑑定評価や各種議事録を整え万全に備えているのに、です。
不動産の売買価格は、鑑定評価よりも下げれます。
下げれないというのは、
経験のなさからくる思い込みに過ぎないのです。
(古山喜章)
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