株式はなぜ、思わぬ方向に分散してしまうのか③
“分散した株式をどうすればよいのか…。”
という悩みをお持ちの経営者が、ICOには数多く相談に来られます。
その際、買い戻す前にまず、
なぜそうなったのか、をお聞きします。
そこには、さまざまな理由が現れてくるのです。
③早く後継者に渡しておきたかったから
「わが社はこれから株価がまだまだ上がりそうなので、
今のうちに息子へどんどん贈与してゆこうと思いますが、
どうでしょうか?」
等とおっしゃる経営者が時折おられます。
「ところで、息子さんはおいくつですか?」と尋ねます。
「今年10歳です。」
「それは若すぎますよ!やめてください!」となるのです。
このように返答するのには、理由があります。
例えば、このような相談があるのです。
「息子から株式を取り戻したいんです。」
「どういうことですか?」
「子供の頃から株式を少しずつ贈与で移動させました。
ところが、息子はどうも、経営者には向かないようで…。
このまま息子が継ぐと、会社が傾くに違いないんです…。」
と、切実な思いで相談に来られます。
しかもそのような相談に来られる会社の株価は、
往々にして、かなりの高額になっています。
買い戻す、といっても簡単には進みません。
それに、買い戻しにすんなり応じる息子さんならまだいいです。
その時点で親子ゲンカの状態に陥っていたら、
買い戻しもスムーズには進まないのです。
経営者には、向き不向きがあります。
先代経営者が後継者を嘆く理由もさまざまです。
“自分で何も決めれず、なのになんでも人の責任にします。”
“どうも、素行がよくなく、あれでは誰もついてきません。”
“好ましくない女性と結婚してしまい、先行きが不安なので…。”
“どうもうちの仕事に興味がないみたいなんです。”等々
結局、後継者としての資質を見極めることもなく、また、
本人の意思確認をすることもなく、
親の一存だけで株式を子にどんどん贈与してしまった、
そのツケがまわってきた、ということなのです。
知らぬ間に株を持たされ、
無理やり後継者の地位に押し付けられた息子にとっても、
たまったものではありません。
早すぎる株式贈与は、不幸をもたらすだけなのです。
わが子を後継者として株式を移してゆくのなら
「会社を継ぎたい」という、息子・娘の意思確認と、
本人の資質を考えてからに、してほしいのです。
(古山喜章)
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