インフレが近づいてきた⑤
日本経済新聞の紙面を見ていると、
「金利上昇」「コスト高騰」の文字を見ない日が
なくなってきました。
特にアメリカでは、進むインフレの流れを抑える
金融政策へと動き始めました。
その流れはやがて、日本にも近づいてきているのです。
⑤過剰な品質・サービスを見直す
ある食品工場で製品原価の見直しをしていたとき、
「この調味料だけど、
こんな高いメーカーのものを使う必要あるんですか?」
ということがありました。担当者は、
「このメーカーの調味料のほうが、品質がいいんですよ。」
と言うのです。
「そりゃそうだろうけど、わが社のこの製品で、
そこまでレベルの高い調味料を使う必要性はないでしょ。」
となり、ワンランク下げた原材料に変更したことがありました。
これは食品の例でしたが、何であれ、
過剰品質の原材料や資材を使用している、
ということが、あるのです。
しかしそれは、高品質のものでもデフレで安く買えるから、
できたことだったのです。
インフレで原材料がどれも上がれば、
そのような過剰品質のものを使っていては、原価が合わないのです。
原材料の過剰だけではありません。
長引くデフレのなか、
さまざまなサービスがタダ同然のように、
顧客に提供されてきました。
配送料0円、年会費0円、初年度年会費0円、
おかわり無料、食べ放題、などなど、
安さを売り物にする商売が氾濫しつづけました。
しかし、インフレ環境の局面では、
そのようなことを継続するのは、体力を疲弊させるだけです。
しわよせの多くは、現場で働く人たちのもとへと向かいます。
人件費を上げれないのです。
やがて、現場がついていけなくなるのです。
この30年、過剰な品質やサービスが横行しました。
その波は、知らず知らずのうちに、社内に浸透しているのです。
いまのうちに改め、
過剰品質の原材料はランクを下げる、
過剰なサービスをやめて、お代を頂くように変える、
という方向へと見直してほしいのです。
インフレ局面が近づく今、
これまでの製品・サービスを放置していては、
粗利が下がり、営業利益が減り、キャッシュフローが縮むだけです。
自社の売り物の中身を見直し、
インフレ局面でも、
稼ぐ商品・サービスとしてほしいのです。
(古山喜章)
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