労務制度の常識を見直すときが来た④
大企業でのジョブ型雇用が進むなど、
労務制度がかわりつつあります。
中小企業においても、
これまで当たり前のようにあった取り組みを、
見直す時がきているのです。
④定期昇給をやめれないか
中小企業も含めて、日本の給与制度の多くは、
等級と号数で管理する、職能資格制度を運用しています。
1等級と2等級は一般社員、3等級は係長・主任、
などといったタイプの制度です。
社員をそれぞれ、能力に応じた等級にあてはめます。
そしてそのなかで号数を上げて、定期昇給してゆきます。
「2等級の○○さんは、昨年の人事考課でB評価なので、
2号上がります。」といった運用方法です。
このように多くの場合、B評価でも1号か2号はあがります。
これが定期昇給となっているのです。
しかし、この方法のままだと、
給与はいつまでもあがってゆく、といいうことになります。
それも業績に関わらず、人事考課の結果次第で、
定期昇給は行われてきたのです。
この方法も、今の時代には合わなくなってきました。
「年数が増えるだけで、給与がいつまでも上がるのはおかしい。」
「業績は横ばいなのに、給与ばかりが上がって、これでは持ちません。」
「デフレが続いているのに、昇給し続けるのはおかしいんじゃないか。」
等々。
要は、定期昇給そのものを見直す時代にきた、と感じるのです。
ひとつの方法として考えれるのは、配当です。
今でも、従業員持株会を活用している中小企業はあります。
議決権のない、配当優先のある、
種類株式として運用しているケースが多いです。
ただ現状は、定期昇給にプラスして、持株会の配当も若干ある、
というケースがほとんどです。
それを、定期昇給は無しにして、
持株会に参加できる人数を増やし、
配当で大きく報いる形にすればよいのではないか、ということです。
極端に言えば、全員株主経営、といった形です。
種類株式を活用すれば、株式の分散対策もできるのです。
無議決権、配当優先の活用で、持株会メンバーだけに厚く配当できます。
現状の会社法で配当は、1年に何度でもいいことになっています。
配当額は持ち株数や、株式の種類で差をつけることができます。
業績次第で配当はなし、とすることもできます。
持株会の運用ルール次第で、割り当てる株式の増減が可能です。
さらに配当は、給与所得ではないので、
社会保険の算定基準に入りません。
配当が減っても、不利益変更にはなりません。
配当は、業績結果に対して出すものです。
業績に無関係な定期昇給よりも、
そのほうが、これからの時代には見合うと考えるのです。
特に現状、従業員持株会を運営している会社なら、
そう高くはないハードルで、実現できると考えるのです。
(古山喜章)
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