人件費対策を考えよ ③
人材不足、最低賃金・法定福利費の上昇、
インフレ傾向、残業規制強化など、
これからの経営環境において、
人件費のコスト上昇を逃れることはできません。
何もしなければ、固定費は膨らむばかりなのです。
③法定福利費の対策をしなさい
日本は高齢化が進むことで、
社会保障費の財源が年々不足しています。
それを補うべく、社会保険の対象者を拡大しています。
5年前の平成29年、大きな動きがありました。
従業員数500人超の会社を対象に、
社会保険の対象者を拡大したのです。
次の4つの条件を全部満たす従業員が、
社会保険に加入しなければならない、となったのです。
①週の労働時間が20時間以上
②雇用期間が1年以上見込まれる
③月額賃金88000円以上
④学生でない
会社にとっては、それだけ、法定福利費が増えたのです。
そしてこの2022年10月以降は、
従業員数500人超から、100人超に改訂されます。
「うちは500人もいないから大丈夫ですよ。」
と言っていた会社も、100人超なら対象になる、
という中小企業は多いはずです。
さらに2024年には、
100人超から50人超の会社が対象になります。
この改定は確定しています。
対象となる会社は、
上の①~④を満たす従業員の数だけ、
法定福利費が増えることになるのです。
ある労働集約サービス業の会社では、
その人数が100人強になることがわかっています。
なので、今のうちに会社を分割して、
社会保険適用拡大の対象にならないよう、準備を進めています。
放置すれば、100人分の法定福利費で約2千万円、
労務コストが増えるのです。
分社すれば、管理コストが増えるのでは、
と不安に思うかもしれません。
しかし、その会社ではすでに子会社が複数あり、
管理の仕組みはできあがっているのです。
さらに分社化しても、管理の手間がそう増えることはないのです。
それに、前回にも書いたように、
管理・間接業務はどんどん自動化が進んでいます。
そうなれば、なおの事、会社の数が増えたとしても、
管理コストの増加を気にすることはないのです。
それに、法定福利費は料率が上がるなど、
まだまだ高騰することが予測できます。
自分の会社が
社会保険適用の人数制限に引っかかるようであれば、
まずその対象者人数を把握し、
必要あれば、会社を小さく分けることを、進めてほしいのです。
(古山喜章)
« 人件費対策を考えよ ② | トップページ | 人件費対策を考えよ ④ »
「財務・会計・キャッシュフロー」カテゴリの記事
- 補助金・助成金・税優遇を活用しなさい①(2024.09.17)
- 倒産防止共済の駆け込み解約&再加入が進んでいます(2024.09.09)
- その固定資産、稼いでいますか⑤(2024.09.06)
- その固定資産、稼いでいますか④(2024.09.05)
- その固定資産、稼いでいますか➂(2024.09.04)
コメント