なぜ、少数株主を整理すべきなのか ①
「株主は少ないほうが事業承継のトラブル防止になる」
と申し続けております。にもかかわらず、株主名簿を拝見すると、
10人、20人、時には100人以上もの株主が存在する、
という中小企業があるのです。
こうなると、事業承継の手立てよりもまずは、
株主数を整理し、集約することから始めなければならないのです。
①亡き従業員の相続人が手放さない
株主がたくさんおられる場合、
それぞれの株主がどのような方なのか、
お一人ずつ確認してゆきます。すると、
「この株主は、元従業員の奥さんです。」
というケースがありした。
元従業員の方がお亡くなりになり、
その奥様が株式を相続されたのです。
「いつお亡くなりになられたのですか?」
と社長に聞くと、
「退職されて、5~6年後ですかね。」
とのことで、続いてこう尋ねました。
「うちを退職された時点で株を買い戻さなかったんですか?」
「そうなんですよ。そうしておけばよかったんですが、
株のことなんて、すっかり忘れていました。」
「それで、思い出して買い戻そうとしたんですか?」
「株を相続された奥様の元に、
買戻しの話しをしに伺ったのですが、
“これは主人が遺した形見なので、売れません”
と言われて、そのままなんですよ。」
といった経緯なのです。
こうなると、値段やお金の問題でないので、
株を買い戻すのはとても難しくなります。
元従業員の男性が退職した時点で、額面で買い戻しておけば、
このようなことにはならなかったのです。
そのタイミングを逸したことが、このような結果になったのです。
この場合、奥様に交渉して、
お持ちの株式を種類株式に変えることを了承いただきました。
その奥様からさらに他の方に相続されないよう、
取得条項の付いた種類株式に変換させていただいたのです。
そうしておけば、更なる分散を防止でき、
その奥様がお亡くなりになられた際には、会社が買い戻せるのです。
少なくとも、時の経過により、問題は解決するのです。
このようなことをせず、買い戻せないからそのまま、
としていると、さらに別の方に相続されてゆきます。
そうなれば、買戻しはますます難しくなるのです。
株式が分散していれば、分散の数だけ、
トラブルの種を抱えているのと同じです。
だから、少数株主は放置せず、
買い集めることを進めておいてほしいのです。
これは大きな経営課題なのです。
(古山喜章)
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