なぜ、少数株主を整理すべきなのか ➂
「株主は少ないほうが事業承継のトラブル防止になる」
と申し続けております。にもかかわらず、株主名簿を拝見すると、
10人、20人、時には100人以上もの株主が存在する、
という中小企業があるのです。
こうなると、事業承継の手立てよりもまずは、
株主数を整理し、集約することから始めなければならないのです。
➂額面で買い戻す約束だったが・・・
ある会社でのことです。
株式の5%を先代社長と懇意な近隣の会社が保有していました。
「あそこの社長とは、額面で買い戻す約束をしている。」
と、先代社長は常々言っておられました。
その先代社長もお亡くなりになり、
先方の社長もご高齢で引退していました。
そろそろ、買い戻させてもらおうと、
後継社長がその会社に連絡を入れました。
すると、総務担当の方から言われました。
「おいくらで買い戻していただけますでしょうか?」
連絡をした後継社長は伝えました。
「うちの先代社長は、引退された御社の元社長と、
額面で買い戻すという約束をしていたので、
そう考えておりますが・・・。」
「何か取り交わしの書面など、ありますでしょうか。」
「いやぁ、口約束だと思いますので、書面はありませんが、
御社の先代社長にご確認いただけますでしょうか。」
となったのです。
後日、総務担当の方から連絡がありました。
「先代社長は覚えておられないようです。
申し訳ありませんが、それなりの金額での買取を、
お願いできますでしょうか。」
先代社長への確認が本当にされたのかさえ、
こうなるとわかりません。
いずれにせよ、単なる口約束なので、返答の術がありません。
結局、時価評価額よりは低いながらも、
額面の3倍近い価格で買い戻すことになりました。
要は、窓口となった総務担当の立場からすれば、
保有資産の株式を額面で買い取ってもらう、ということは、
社内的に承認を得にくいのです。
ある程度の規模の会社組織であれば、なおのことです。
これは法人相手のケースですが、個人間でも同じです。
長年も前のこととなると、口約束はかなり危険です。
そうならないうちに、
少ない株式を買い戻しておいてほしいのです。
(古山喜章)
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