なぜ、少数株主を整理すべきなのか ②
「株主は少ないほうが事業承継のトラブル防止になる」
と申し続けております。にもかかわらず、株主名簿を拝見すると、
10人、20人、時には100人以上もの株主が存在する、
という中小企業があるのです。
こうなると、事業承継の手立てよりもまずは、
株主数を整理し、集約することから始めなければならないのです。
②ある日突然、知らない会社から買取請求が…
ある会社の社長から次のような相談がありました。
「知らない会社から突然、株式の買取請求が届きました。」
そこには、次のようなことが記載されていました。
“〇〇〇〇様から、御社の株式を買いました。
御社の株主としての承認をお願いします。
承認いただけない場合は、買取人を指定ください。”
わずかな株式を保有する、社長の親族が、
買取業者へ株式を売却したのです。
このような場合、
「定款で譲渡承認が必要とされていたら、
買取業者への譲渡は無効ではないのか。」
とお考えの方が多いと思います。
ところがそうではないのです。
会社法には、株式譲渡自由の原則、が定められています。
会社に対して議決権の効力はないものの、譲渡は有効である、
ということになるのです。
上記のような通知が届いた場合、
2週間以内に、承認するかどうかの返事をしないと、
株主として承認したことになります。
妙な業者を株主として認めたくないので、
多くは会社が買い取ることになります。
ただ、その場合の株価が高いのです。
公認会計士が算定する、
DCF法(ディスカウントキャッシュフロー)という、
計算方法になるのです。
結局、少数株主を放置し、しかも、
その株主との関係が良好でない場合、
このような事態に発展することが、最近増えてきているのです。
非上場会社の少数株主から株を譲り受け、
会社へ買取請求をする、という業者が現れているのです。
日本経済新聞でも、その手法を紹介する本の広告を見かけるのです。
そのような業者の手元に株式が渡らぬよう、
人間関係が良好なうちに、少数株式を持つ株主から、
買い集めを進めておいてほしいのです。
(古山喜章)
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