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2022年6月

2022年6月30日 (木)

一世代一裁判④

株式会社南ハウス(仮称)の南一郎会長(仮名)から、

役員退職金の関係で仕事を受けたのは、

これまで述べた通りです。

 

一段落してから、もう5年ほどが経過しました。

その間、年賀状のやり取り、

ウッドショックやコロナ禍では、メールのやりとりは行っていました。

その当時は、まだ裁判には至っていないようでした。

 

裁判になったことを聞いたのは、つい最近でした。

 

実は、私のもとに、

別件で内紛のトラブル案件が相談に持ち込まれました。

 

内容は、姉妹で会社経営をしていたが、

社長の姉が、平取締役の妹に、

ある日突然に、株主総会、取締役会で解任された、

というものです。

 

姉は、株式を30%持っていましたが、

他の株主の面々が、すべて妹側についてしまい、

一夜にして、姉は全てを失ってしまったのです。

 

姉としては、

・役員退職金の請求

・保有株式の買取

を妹に求めましたが、

返事はなしのつぶて、でした。

 

そこで、何かよい方策はないかと、相談に来られたのでした。

地元の顧問弁護士は、こうした経験が薄く、

あまり頼りにならない感じです。

 

「役員退職金は最高裁でも負けてます」

「保有株式の買取は難しいです」など、

「それなら、なぜ、この仕事を引き受けたのか?」

という消極的な姿勢だったのです。

 

そのときに、南会長のことを思い出し、

南会長に電話をしてみたのです。

 

すると、「ちょうど今、弁護士をつけて争っているところだよ!」

とのことだったのです。

 

(福岡雄吉郎)

2022年6月29日 (水)

一世代一裁判③

株式会社南ハウス(仮称)の南一郎会長(仮名)から、

役員退職金の関係で仕事を受けました。

 

南会長は、敵対する甥っ子の社長に対して、

役員退職金を●億円出してもらいたいと画策していました。

 

それに対して、外部の専門家から、

意見書が欲しいということで、

私に依頼があったのでした。

 

会長の意向に沿うように、

文書を作成することはできますが、

果たしてこれがどの程度、甥っ子の社長に響くのか・・・

 

そもそも、南会長の持株比率は30%程度で、

退職金を出すことを可決できません。

それでも、何かしらの後ろ盾が必要だと感じられたのです。

 

「会長、ところで、株式もお持ちですよね。

これはどうされるつもりですか?」

 

「ん?株?

これももちろん、社長に買い取ってもらうよ。

買い取ってもらえなければ、これもまた、裁判だな。」

 

その当時、私も株式に関する知識が浅く、

裁判で株式を買い取ってもらう方法なんてあるのか・・・

と思っていました。

 

南会長も、株式の取扱いについては、

深くご存じなく、とりあえずは、

まず先に退職金を出してもらいたい、

という意向でした。

 

とりあえず、会社(社長)宛の

退職金文書を作成して、説明することになりました。

 

「先生、ありがとう!

これで、とりあえず、甥っ子にぶつけてみるよ。

こっちには、弁護士もいるからさ。

 

それで困ったことがあれば、また連絡するから、

そのときはよろしく!」

 

そういって、ひとまず、南ハウスの仕事は一区切りついたのでした。

 

(福岡雄吉郎)

2022年6月28日 (火)

一世代一裁判②

株式会社南ハウス(仮称)の南一郎会長(仮名)から、

役員退職金の関係で仕事を受けました。

 

関係性が良くない南太郎社長(仮名)宛に、

役員退職金を出してもらいたい、

併せて、自分が持っている株式を買い取ってもらいたい、

というのが、そのリクエストでした。

 

「そもそも、甥っ子の社長とは、どんな関係なのですか?」

 

南会長は大きな声ではハキハキ話されます。

「んー、一言でいって、全然性格があわんね。

僕には、一回り以上の兄がいて、もう他界してるんだけど、

その兄の息子が今の社長なんだ。

 

兄には一回り以上も上ということもあって、

父親みたいによくしてもらった。

この会社は、その兄から僕が託されたんだよ。

 

兄の息子は、典型的なボンクラで、

人望も何もありゃしない。

それは、兄もよくわかってたね。

 

だから、亡くなる直前のベッドで手紙を書いて、

“一郎にこの会社を託す”とか書かれてたよ。

と同時に、“息子のことも頼む“と言われて、

それで、ボンクラでも社長にして、今までやってきたってわけ。

 

でも、僕ももう歳だし、セカンドライフを見据えて、

そろそろ引退して、退職金もらって、って考えてるの。

でも、甥とはやっぱり関係性がよくないから、

あいつは、絶対に退職金を出さない。

だから、先手を打とうと思ってさ。」

 

「株式は誰がもっているんですか?」

 

「それが問題だよな。

株はねぇ・・・甥っ子の社長が、60%持ってるの。」

 

「会長、それだと、退職金の決議がとれないですね。

退職金の決議は、株主総会の普通決議、

つまり、51%が必要ですよ。」

 

「そうそう、それはもう知ってるんだよ。

だからね、ちゃんと弁護士も用意してるの。」

 

「裁判するつもりですか?」

 

「そうだよ!向こうが出さないっていうなら、

そうするしかないでしょ。他に方法ある?

この南ハウスという会社はね、歴史が長い会社だけど、

1世代で1裁判はしてるね。ハハハっ!」

 

と明るく大きな声でおっしゃる南会長でした。

 

(福岡雄吉郎)

2022年6月27日 (月)

一世代一裁判①

前回のブログに続いて、

株式に関する争いをご紹介します。

 

5年以上前に相談を受けた会社で、

株式会社南ハウス(仮称)がありました。

 

南ハウスの南一郎会長(仮名)とは、

高額退職金のセミナーに参加され、

そこで名刺交換をしたのが、はじまりでした。

 

そのあと、暫くしてから、

「一度面談をしたい」と連絡がありました。

 

場所は、地方都市の会議室で、

南会長の番頭さんと来られました。

 

相談としては、

「会長の退職金として、2億円は欲しいと思っている。

その2億円が妥当であるということの意見書を書いてほしい」

ということでした。

 

いつもと違うのは、

宛先は、税務署ではなく、会社の社長宛です。

つまり、完全な内部資料として、退職金の文書が必要、

というわけです。

 

ちなみに、社長は、南会長の甥である太郎氏(仮名)です。

これで、お分かりでしょうか?

 

会長 と 社長 の関係が悪く、

「退職金を出すことに、社長を説得してほしい」

という依頼だったのです。

 

あわせて、南会長は、

南ハウスの株式も保有しており、

その買取も、甥である南社長に求めるつもりでした。

 

(福岡雄吉郎)

2022年6月24日 (金)

社員持株会の活用にも備えが必要です⑤

株主名簿を拝見すると、

株主名に「社員持株会」を見かけることがあります。

しかし、その規則を見ると、どこの会社も概ね同じ内容なのです。

「社員持株会」は、うまく使えば事業承継対策にもなります。

ただしその為には、いくつかの備えが必要なのです。

 

⑤解散が必要なときへの規則が準備されていますか

 

持株会の規約を各社拝見させていただいて、気になるのは、

解散についてのことが何も書かれていない、

ということです。

 

例えば、

後継者不在で会社をM&Aでどこかへ売却したい、

あるいは吸収や合併を進めたい、

等ということも、今の時代では大いにあり得ることです。

または、

持株会といえど、今となってはほとんど会員はおらず、

2~3人のために会を運営している、

等というケースもみかけます。

 

このような時に、必要であれば、

会社の意向で持株会を解散することができるよう、

持株会の規約に条文を設けておいてほしいのです。

 

例えば以下のような条文です。

「(持株会の解散)

  会社から特別な事情により、

  会社の取締役会決議にて本会の解散請求を受けた場合は、

  本会はその請求を速やかに容認するものとする。

  その場合、本会は臨時総会を開催し解散決議の議事録を残すものとする。」

 

さらに、

もしも持株会に残余財産がある場合は、

会社が指定する会社の口座に振り込むものとする、

としておくことも必要です。

 

持株会を作った時は、解散など考えずに規約を作っているものです。

しかし、どんな場合も、出口をしっかりと押さえておいてほしいのです。

持株会は、うまく活用すれば、

社員のモチベーションアップや事業承継に、

大いに役立てることができるものです。

それだけに、規約の整備・見直しなど、

何事もないうちに、進めておいてほしいのです。

 

(古山喜章)

2022年6月23日 (木)

社員持株会の活用にも備えが必要です④

株主名簿を拝見すると、

株主名に「社員持株会」を見かけることがあります。

しかし、その規則を見ると、どこの会社も概ね同じ内容なのです。

「社員持株会」は、うまく使えば事業承継対策にもなります。

ただしその為には、いくつかの備えが必要なのです。

 

④オーナーから持株会には、株式を額面で譲渡できます

 

株価が高すぎて、オーナー保有の株式を、

後継者が全部買い取るには高すぎる、

という時に、株式の一部を持株会へ譲渡することがあります。

なぜなら持株会へは、株式を額面で譲渡できるからです。

 

「えっ、そうなんですか!」

と驚かれることがります。もっとひどいのは、

「うちの税理士は、

“たとえ持株会であっても額面で譲渡してはいけない!”

と言ってました。」

と、とんでもない嘘を教えられていることがあったのです。

 

結局、その嘘をついた税理士は、事業承継を扱ったこともなく、

株式の移動に関する知識はほぼなかったのです。

知らなければ「わからない」と言えばよいものを、

そうは言いたくないから、

“額面ではなく、時価評価額で譲渡すれば問題はないはず”

との思いで、そう言っていただけだったのです。

 

もう一度言います。

持株会へは、株式を額面で譲渡できるのです。

持株会は同族ではありません。

同族以外の者が株式を買う場合は、配当還元方式で買えるのです。

配当が10%以下なら、額面での譲渡が可能、というわけです。

 

「株数が30%以上だと、額面ではダメですよね。」

と言われることがあります。

その通りですが、正しくは、「議決権の30%以上の株式」です。

なので、

オーナーが保有する株式が、議決権の30%以上であっても、

昨日申し上げた、無議決権の種類株式に転換すれば、

議決権はゼロです。

そのすべてを同族以外の者へ、額面で譲渡することが可能なのです。

 

つまり、持株会という存在は、

事業承継の株式対策において、有効活用できる手段のひとつ、

なのです。

株価が高すぎて後継者の経済的負荷が大きすぎる、

というのであれば、

大いに活用を検討してもよいアイテムなのです。

 

(古山喜章)

2022年6月22日 (水)

社員持株会の活用にも備えが必要です③

株主名簿を拝見すると、

株主名に「社員持株会」を見かけることがあります。

しかし、その規則を見ると、どこの会社も概ね同じ内容なのです。

「社員持株会」は、うまく使えば事業承継対策にもなります。

ただしその為には、いくつかの備えが必要なのです。

 

③持株会の株式は種類株式にしたほうがよい

 

前回述べたとおり、

持株会メンバーが急死をされて裁判に発展した場合、

持株会の規則では法的効力がありません。

相続人に権利が移ってしまうことが、あり得るのです。

 

そうならないようにするには、

持株会で持つ株式を種類株式として、登記することです。

具体的には、

次の3つの要素を持つ種類株式として登記するのがベストです。

1)議決権無し

2)配当優先

3)取得条項付き

 

そもそも、議決権を求めて持株会に参加する、

という社員はいないと思われます。

であれば、議決権は無しでも問題ありません。

また、多くは配当を求めて、ということのはずです。

配当優先にしておけば、普通株式には配当を出さないけど、

持株会の配当優先株にだけは配当を出す、ということができます。

 

3)取得条項付きは、株式の分散を防止するものです。

いくつかの条件を設定し、その条件に触れることが生じたら、

会社がすぐにその株式を買い戻せるように、するものです。

例えば、

会社を退職したとき、死亡したとき、逮捕されたとき、等々です。

持株会の場合であれば、

「社員持株会を退会したとき」という条項を設けます。

 

このようにしておけば、持株会の社員が急死をした場合でも、

財産権を行使されることなく、法務局への登記事項に基づき、

その亡くなった社員の持ち分株式を、会社が買い戻すことができます。

種類株式として登記することで、

持株会が保有する株式に、法的効力を持たせることが可能となるのです。

 

ただし、既存の普通株式を種類株式に転換するには、

定款変更をするべく、株主総会の特別決議に加えて、

全株主の同意が必要になります。

そのため、

株主が多すぎたり、面倒な株主がいると、実現しにくくなります。

ちなみに持株会は、代表である会長が同意をすれば、それでOKです。

持株会メンバー全員の同意を得る必要はありません。

 

現状、

「社員持株会は全部、普通株式です」というのであれば、

大いに検討すべき事項なのです。

 

(古山喜章)

2022年6月21日 (火)

社員持株会の活用にも備えが必要です②

株主名簿を拝見すると、

株主名に「社員持株会」を見かけることがあります。

しかし、その規則を見ると、どこの会社も概ね同じ内容なのです。

「社員持株会」は、うまく使えば事業承継対策にもなります。

ただしその為には、いくつかの備えが必要なのです。

 

②持株会規則に法的効力はありません

 

持株会制度や持株制度を運用する会社には必ず、

その規則が存在しています。

概ね、顧問の税理士や司法書士が用意したもので、

いわば、とおりいっぺんの規則です。

 

そこには、

会員の資格として、その会社の従業員であることや、

退職した場合や死亡した場合は会員の資格を失う、

といったことが記載されています。

そのように書かれているので、どの社長も、

「規則に書いてあるから、何かあっても大丈夫ですよ。」

という感覚でおられます。

 

しかし、大丈夫ではないのです。

例えばこんなことがありました。

持株会の社員がなくなり、その奥様に、

「規則に従って、持株会から退会していただきます。」

と伝えたところ、

「私の主人が遺したものですから、私がそのまま受け継ぎます。」

となり、裁判に発展したものの、

相続人である奥さまの財産権は守られたのです。

持株会の規則とは外れるものの、その奥様は、

イレギュラーな会員として、その後、存続されたのです。

 

結局、持株会の規則といえども、

所詮は任意組合内の運営ルールです。

裁判等の法定争いに発展した場合、法的な効力は、ないのです。

 

ほとんどの場合は、

「持株会のルールに従って対応します。」

と会社側から伝えれば、「わかりました。」となります。

しかし、ごくまれに、

その通りにはいかないケースも、あり得るのです。

 

「じゃあ、持株会は無いほうがいいんですか?」

と言われれば、そんなことはないのです。

争いごとに発展しないような、備えをすればよいのです。

それは、種類株式の活用ですが、次回に書かせていただきます。

 

(古山喜章)

2022年6月20日 (月)

社員持株会の活用にも備えが必要です①

株主名簿を拝見すると、

株主名に「社員持株会」を見かけることがあります。

しかし、その規則を見ると、どこの会社も概ね同じ内容なのです。

「社員持株会」は、うまく使えば事業承継対策にもなります。

ただしその為には、いくつかの備えが必要なのです。

 

①社員持株制度と社員持株会制度は、違います

 

「社員持株会制度」とは別に、「社員持株制度」もあります。

この違いを知る人が、意外と少ないです。

「うちの会社には社員持株会があります。」

と言われて、その規則をよく見ると、

「これは持株会ではなく、単なる持株制度ですね。」

となることがあるのです。

 

「社員持株制度」は、社員が個々に株主となる制度です。

議決権がある株式なら、その議決権は株主である社員が、

個々に行使することとなります。

一方、

「社員持株会制度」は、あくまでも、持株会が株主となります。

従業員である個人が持株会にお金を差し入れて、

そのお金で持株会が株式を買うことになります。

議決権がある株式なら、その議決権は、

持株会の理事長が代表で行使することになっています。

 

株主を分散させたくない、という観点からすれば、

「社員持株会制度」のほうが、助かります。

なぜなら、

個々人が株主となる「社員持株制度」の場合、

その株式を買い戻したい、という事態が訪れると、

持株制度メンバー全員との交渉をしなければならないからです。

そうなると、

会社のことをよく思っていない社員が株主に存在すると、

スムーズに運ばないことが、往々にしてあるのです。

 

「しかし、会社のことをよく思っていない社員が、

 株主になんかなりますか?」

という経営者がいます。

株主になったときはそうでもなかったが、

時間の経過とともに、その株主の思いが変わってくる、

ということは、大いにあるのです。

 

「持株会」であれば、個々の社員との交渉はありません。

あくまでも、「会」の代表である、理事長との交渉になります。

多くの場合、理事長は管理部門の者が担当しています。

なので、どちらかというと、

経営陣の意図を汲んだ意思決定となりやすく、事がスムーズに運びます。

また、そのような社員を理事長にしておくべきです。

 

「社員持株制度」と「社員持株会制度」は、

「会」という1文字が付くかつかないかで、大違いなのです。

まずは、その違いを理解し、

事業承継時への活用に、備えてほしいのです。

 

(古山喜章)

2022年6月17日 (金)

親の心、子伝わらず⑤

親であれば、誰しもが「兄弟姉妹仲良く」

と願うところではありますが、

現実にはそうはいかないことも多く、

中には、兄弟で紛争に至る、

あるいは、親子間でさえ、弁護士を使って闘争する、

という事態に陥ることもあるのです。

 

ケース1も、ケース2も、

株式を巡るトラブルでした。

その株式を巡るトラブルを解決するのが、種類株式です。

 

種類株式のなかでも、

とりわけ、「取得条項」というものが、

一番役立ちます。

 

これは、誰かに売ろうというとき、

ないし、誰かに売ってしまったときでも、

それをブロックできるのです。

 

また、売られた株式はどうなるのか?

誰かに売ってしまった株式はどうなるのか?

については、改めてご説明します。

 

株式ではありませんが、親子間のトラブルはよく起こります。

意外に、義理の親子関係でもトラブルは発生します。

 

ただし、義理の親子間の場合は、株式を巡るトラブルは少ないです。

というのは、義理の父が、義理の息子に株式を渡すケースは、

そんなに多くないからです。

あるいは、実子と違って、かなり、色々と考えて対策してから、

義理の息子に株式を渡すからです。

 

この場合のトラブルは、

結末は、義理の息子が会社を飛び出したり、

役員を解任されたり、といったことになります。

 

義理の関係というのは、

これはこれで難しいものがあります。

 

後継者、あるいは、後継者夫人には、

「耐える」「辛抱する」ということが、

一番求められることだなと感じています。

 

(福岡雄吉郎)

2022年6月16日 (木)

親の心、子伝わらず④

親であれば、誰しもが「兄弟姉妹仲良く」

と願うところではありますが、

現実にはそうはいかないことも多く、

中には、兄弟で紛争に至る、

あるいは、親子間でさえ、弁護士を使って闘争する、

という事態に陥ることもあるのです。

 

ケース2

 

そうかと思えば、ケース2は真逆です。

北陸地方のある電材関係の商社です。

 

兄が40%

弟が30%

他、役員で30%

という株主構成でした。

 

兄が社長

弟が専務

兄弟仲は、よくありませんでした。

 

兄弟の父が今から2年ほど前になくなりました。

生前の父は、

「弟は、兄を支えるように」

と口酸っぱく言っていたようです。

 

ところが、ある日を境に、

父の願いは、儚いものとなりました。

 

昨日まで、社長だった兄が、

臨時株主総会、臨時取締役会を招集され、

弟から解任されてしまったのです。

 

なぜ、そうなったのか、皆目見当がつきませんが、

ここで、問題なのは、兄が持っていた40%の株式です。

 

今回は、先ほどのケース1とは真逆です。

弟は、兄の株式を買うつもりは毛頭ありません。

しかし、兄としては、何とか換金したい。

そこで、相談がもちこまれたのです。

 

つくづく思いました。

経営する人が、議決権の51%は持たないといけません。

 

(福岡雄吉郎)

2022年6月15日 (水)

親の心、子伝わらず③

親であれば、誰しもが「兄弟姉妹仲良く」

と願うところではありますが、

現実にはそうはいかないことも多く、

中には、兄弟で紛争に至る、

あるいは、親子間でさえ、弁護士を使って闘争する、

という事態に陥ることもあるのです。

 

ケース1

会社を追い出された弟は、

自分の持っている株を兄に、

買ってほしいと伝えました。

兄は、これを拒否。金額で合意できなったのです。

 

その後、弟は、その株式を、

「無断で」見ず知らずの会社に売却してしまいました。

 

「無断で」というところがポイントです。

これを読まれた方は、

「うちの定款には、取締役会の譲渡承認条項がついている。

だから心配ない。」と思われている方が圧倒的に多いですが、

現実には、定款にその定めがあっても、売却することは可能です。

 

では、何のための譲渡承認条項かといえば、

この場合は、事後承認という意味になります。

 

つまり、弟から株式を譲り受けた新たな株主が、

「私を株主として承認してくださいね。

そのために、取締役会の合意が必要」という意味です。

ご存知でしたか?

 

ちなみに、その弟から株式を買い取った会社は、

いわくつきの会社です。

 

全国各地で、こうした事件が散見されるようになっています。

 

(福岡雄吉郎)

2022年6月14日 (火)

親の心、子伝わらず②

親であれば、誰しもが「兄弟姉妹仲良く」

と願うところではありますが、

現実にはそうはいかないことも多く、

中には、兄弟で紛争に至る、

あるいは、親子間でさえ、弁護士を使って闘争する、

という事態に陥ることもあるのです。

 

ケース1

兄弟が一つの会社に入り、株式も分けあった挙句、

仲違いして、株式が分散する

 

兄が社長、弟が専務。

兄と弟の仕事に対する考え方は大きく異なり、

言ってみれば、弟はボンクラでした。

 

そのうちに、兄は、弟の態度が我慢ならないようになり、

いつしか、弟を冷遇します。

弟も、そういう兄に悪意を持ち始めて、

やがては、会社を飛び出したのです。

 

兄の持株は約70%

弟の持株は約30%

弟は、拒否権すら持たず、

兄の前では無力そのものでした。

 

兄弟の父親が他界した後、

遺産分割協議で、大きく揉めました。

兄弟で話し合うなかで、弟が持つ30%の株式の話になりました。

 

弟は、5000万円で買ってくれ、

兄は、3000万円なら買ってやる、

で、話し合いはいつも平行線。

 

そのうちに、弟から返信がなくなったと思ったら、

兄もびっくりするような暴挙に出ていたのです。

 

(福岡雄吉郎)

2022年6月13日 (月)

親の心、子伝わらず

親の心、子知らず、

とは昔から言われることわざではありますが、

こと事業承継においては、

親の心、子伝わらず、

とでも言いましょうか、

そういった場面に出くわすときがときどきあります。

 

親であれば、誰しもが「兄弟姉妹仲良く」

と願うところではありますが、

現実にはそうはいかないことも多く、

中には、兄弟で紛争に至る、

あるいは、親子間でさえ、弁護士を使って闘争する、

という事態に陥ることもあるのです。

 

現に、そういったトラブル事例が

複数、私たちに持ち込まれ、対策の検討に

知恵を振り絞っています。

 

会社は、外敵には強く、内紛には弱い、

とはよく言われる言葉ではあります。

内紛をきっかけに、会社の体力が弱まり、

結果として、会社として停滞する、最悪は、身売りに至る、

というようなことにもなりかねません。

 

それで、なぜ、そうなってしまうか?

突き詰めて考えていくと、

「株式」になるのです。

 

能力があるとかないとか、

人望があるとかないとか、

そういうことも全くないとはいえませんが、

最終的には、株式が揉める原因といえます。

 

実際に、どんなことが起こっているのか、

ご紹介をしていきたいと思います。

 

(福岡雄吉郎)

2022年6月10日 (金)

「経営のミスリードにダマされるな!」への反論⑤

前回、「経営のミスリードにダマされるな!」のタイトルで、

武蔵野 小山昇氏の考え方とICOの考え方の違いを書きました。

すると、ある経営者から、大長文の丁重なる文章をいただきました。

仮名として、T会長とさせていただきます。

 

  • お金のないつらさが身に染みています

 

T会長からのメールの締めくくりには、次のように書かれています。

「資金がないときの経営者はとてもみじめなものです。

どうしてこんな仕事を選んだのだろう、

どうしてこんなに苦しいのだろう、という後悔ばかりで、

先の考えがまったく出てこないのです。」

お金のないつらさが、身に染みておられるのです。

さらに、

「10億円を10年借りて、1年の金利が200万円なら、

それで安心が買えるなら、安いものだと思います。」

と続きます。

本当に、多くの体験されたなかでの、正直なお気持ちだと思います。

 

しかし一方で、10億円の負債を抱えることにもなります。

10億円を安心のために借りていて、

何らかのマサカの坂が来て、当座をしのいだとしても、

10億円の返済は残ります。

そのような事態に陥ったら、それはそれで冒頭のような、

同じみじめな気持ちになるのではないでしょうか。

 

前回、武蔵野の小山 昇氏の例を使わせていただきましたが、

知床事故の関連でいま、武蔵野はマスコミで非難を浴びておられます。

業績への影響も大きいと思われます。

そのようなときに、自分が銀行の立場なら、どう動くだろうか、

と考えてしまうのです。

 

「あの会社には、売上10ケ月分くらいのお金を余分に貸しているけれど、

 このままだと回収が危ういのではないか。」

と不安になり、いわゆる貸しはがしに動くのではないか、

と思えてしかたがないのです。

 

「小山社長とは長い付き合いだし、いつもよく借りてくれていたから、

ほとぼりが冷めるまで、このまま貸してあげよう。

申し入れがあれば、リスケジュールにも応じよう。」

とは簡単にならないような気がするのです。

今回の一件で、銀行は態度を変えると思うのです。

雨が降ってきたから傘を取り上げる、

という対応に変わるような気がしてならないのです。

 

そのことを考えると、安心のためと言いながら、

多額の資金を普段から借りているのは、やっぱり危険なのです。

売上高が激減したときに、わずかとはいえ、金利の支払いが要ります。

当然、元金返済も毎月容赦なくやってきます。

そんな時のためにたくさん借りています、

といっても、本当にそのような事態に陥ると、

銀行はそんなに甘くないのです。

マズイ、となれば一気に回収にかかるのが銀行です。

 

平時からの銀行借入は、経営危機の真の対応にはなりません。

セーフティーネットを解約して資金を得た。

生命保険を解約して資金を得た。

経営者陣の手元資金を注入した。

別会社で貯めた資金を借りた。

上場会社の有価証券を売却して資金を作った。

等々、銀行以外のルートで調達できるようにしておくことが、

本当の危機対応だと考えるのです。

 

さらに、

無借金で返済原資も金利も不要な体質にしていた、

ということを付け加えたいのです。

経営危機に陥った時に、借金の返済がないというだけで、

安心感は全く違う、という経営者の声を何度も聞いているのです。

 

T会長からのメールには、多くのことを学ばせていただきました。

まだまだ、考え方の相違があるかもしれませんが、

改めて、感謝の言葉を述べたいと思います。

ありがとうございました。

 

(古山喜章)

2022年6月 9日 (木)

「経営のミスリードにダマされるな!」への反論④

前回、「経営のミスリードにダマされるな!」のタイトルで、

武蔵野 小山昇氏の考え方とICOの考え方の違いを書きました。

すると、ある経営者から、大長文の丁重なる文章をいただきました。

仮名として、T会長とさせていただきます。

 

  • 視える危機への備えは必要です

 

2008年リーマンショックが起こる直前、T会長はニューヨークにいました。

そこで日本のメガバンクの経済アナリストから、

「間もなく非常事態に陥るだろうから、資金手当てをして備えた方がいい。」

とのアドバイスを受けました。

T会長は帰国後すぐに動き、銀行から数十億を借りて備えました。

そのことを振り返り、次のように述べられています。

「あてのないお金だったが手当てをしたおかげで、

 その後の資金不足を乗り越えれました。

 実際にリーマンショック後、市中銀行は全く調達できませんでした。

あてもなく借りたショック直前の資金がなければ、

高利貸しから借りるしかありませんでした。」

 

このご経験から、

万一のためのお金を借りておくことは必要ではないでしょうか、

とおっしゃりたいのです。

しかし、このご経験からすれば、T会長の行動は、

いまそこにある危機への対応であり、視える危機への対応です。

私たちも、そんな時にまで、お金を借りるな!とは申しません。

 

しかもT会長へアドバイスをされたのは、銀行在籍といえど、

経済アナリストの立場の方です。融資部門の人ではないのです。

かなり有力な情報筋です。

そのようなコネクションを持つこと自体、危機への備えです。

 

当時の書籍や小説を読むと、

リーマンショックは9月15日ですが、その数か月前から金融機関と

中央銀行の間で様々な駆け引きがあったことがわかります。

どのような形でショックを引き起こすか、いつ明るみにするのか、

どこの金融機関を助け、どこを助けないのか、

といった駆け引きが事前にあったのです。

そのことからすれば、T会長へアドバイスをされたアナリストは、

もうその時に危機が現実のものとして視えていたのだと思うのです。

その情報を、懇意にしていたT会長へ、お伝えしたのだと思うのです。

 

なので、T会長は人の眼を借りて、

視える危機への備えをされた、と考えるのです。

これは本当に見事な対応なのです。

 

私たちが言う、あてのないお金を借りるな!というのは、

視えもしない危機のためにお金を借りることはない、と言いたいのです。

しかも、多くの場合、銀行融資部門の人からあおられる形です。

彼らは貸すことが仕事なので、ただあおるだけです。

なんの根拠もないのです。

 

T会長が備えた数十億円も、

アナリストが言ったとおりに危機が起こらなかったら、

そのときには銀行へ返せばよいのです。

何があるかわからないから、という根拠のない理由だけで、

決算書にまで残るような余分な借入を、しないでほしいのです。

 

(古山喜章)

2022年6月 8日 (水)

「経営のミスリードにダマされるな!」への反論③

前回、「経営のミスリードにダマされるな!」のタイトルで、

武蔵野 小山昇氏の考え方とICOの考え方の違いを書きました。

すると、ある経営者から、大長文の丁重なる文章をいただきました。

仮名として、T会長とさせていただきます。

 

  • 政府系銀行と民間銀行は、事業目的が違うのです。

 

T会長は、バブル崩壊後に、在庫用の倉庫を大幅に増設されました。

年商は最盛期の約半分に落ちていたものの、

円高効果と業績復調が功を奏してきたのです。

その必要資金30億円を、全額政府系銀行から調達されました。

しかも好条件です。

そのことを振り返り、

年商がダウンしていたにもかかわらず、

以前からのお付きあいがあればこそ、政府系銀行からの賛同を得て、

借りることができた、とされています。

 

ここでまず知っていただきたいのは、

政府系銀行と民間銀行の違いです。

民間銀行は、お金を貸して稼ぐことが目的です。

しかもそのお金は、人さまから預かった預金です。

なので、回収しなければ預かったお金を返せないのです。

倒産しても、とことん追いこみます。

その銀行への預金も必要になります。

資金使途についても、政府系ほどうるさく言いません。

むしろ使途がないのに、銀行にとっておいしい会社には、

どんどん貸そうとするのです。

半面、銀行にとって危険な会社には貸さないのです。

 

一方、政府系銀行は、政府の方針に基づいて、

お金を貸して事業支援すること自体が目的使命です。

稼ぐことは考えていません。

そのお金は、政府から捻出されます。

万一、貸し先が倒産しても、追いこみません。

預金も必要ありません。

しかもその都度の制度融資という枠に当てはまる事業であれば、

融資内容は借り手にとって、より好条件となります。

 

ただし、貸すお金の使途が政府の方針に見合うかどうか、

といった確認は、民間銀行よりもチェックが厳しいです。

政府のお金を使わせていただくので、当然そうなります。

 

なので、T会長が30億を調達できたのも、

お付きあいがあったから、ということよりも、

政府系銀行の趣旨に沿っていたから、

ということのほうが、調達できた主要因だと考えるのです。

お付き合いがあることで、

条件面など多少のプラス要素はあったかもしれません。

が、何より、政府系銀行の本来の趣旨に合わなければ、

お付きあいがあっても、調達することはできないのです。

 

政府系銀行と民間銀行は、その事業目的が違うのです。

融資を受ける際には、その違いを理解しておくことが必要なのです。

 

(古山喜章)

2022年6月 7日 (火)

「経営のミスリードにダマされるな!」への反論②

前回、「経営のミスリードにダマされるな!」のタイトルで、

武蔵野 小山昇氏の考え方とICOの考え方の違いを書きました。

すると、ある経営者から、大長文の丁重なる文章をいただきました。

仮名として、T会長とさせていただきます。

そこには、

「銀行に対するICOの考え方を100%信じると、

 小山さんのいうとおり、資金面で危ないときがあります。」を冒頭に、

T会長のお考えの礎となる、様々なご体験を詳細に記していただきました。

 

しかし、その大変なご体験・苦難に基づくお考えに対しても、

ICOとしての考えがあるのです。

今回は、大先輩への失礼を承知のうえで、

そのことについて、書かせていただきます。お許しください。

 

  • 若き頃の強い体験は、いつもまでも引きずりやすい

 

T会長は、1970年代に会社を興され、

早々に石油ショックの影響を受けて、資金難に陥りました。

しかし、銀行に頼ることなく、資金の死線が近づくなか、

得意先に頭を下げて支払いを伸ばしてもらう、

販売力を強化して何でも売ってお金に変える、

といった血のにじむご努力で、その難局を切り抜けられたのです。

 

銀行は、

資金状況からみれば、T会長は必ず相談に来るはず、と思っていました。

ところが、銀行への相談は全くなく、自力で難局を切り抜けたことで、

銀行はT会長の経営手腕を大いに評価しました。

そのことがあったから、その後の融資取引は、

ほぼ要望どおりに資金調達できた、とT会長は述懐されるのです。

 

T会長がすぐに銀行へ相談しなかった理由は、

銀行は最後の頼みの綱と考えていたから、とも書かれています。

銀行に断られることは、会社の死を意味する、と感じておられたのです。

実際、石油ショックの前後の時代の日本は、

資金需要に対してお金の供給が不足していた時代です。

いまとは真逆の時代だったのです。

現在の格付け(スコアリング)もなく、

銀行支店長の采配で、どこに貸すかを決めていた時代なのです。

それくらい、銀行の力は強く、貸し手が優位な時代だったのです。

だから怖くて相談になど、いけなかったのです。

断られたら、万事休すなのですから。

 

その時代を経験している、80歳前後の経営者はとりわけ、

当時の銀行の存在感や対応が、今も染みついています。

このようなご経験が原体験となり、経営者としての、

長いキャリアを積み重ねられたのです。

当時の厳しくもつらい体験が、今も根付いておられるのです。

 

銀行のことに関わらず、若き頃の強烈な体験は、

その人の考え方や生き方の土台を作ります。

なかなか簡単には、抜けきらないのです。

若き頃の強い体験は、いつまでも引きずりやすいのです。

 

T会長の今現在のお考えの背景には、

若き頃の銀行とお金への体験の、

今とは比べ物にならない厳しさを、感じずにはおられないのです。

 

(古山喜章)

2022年6月 6日 (月)

「経営のミスリードにダマされるな!」への反論①

前回、「経営のミスリードにダマされるな!」のタイトルで、

武蔵野 小山昇氏の考え方とICOの考え方の違いを書きました。

すると、ある経営者から、大長文の丁重なる文章をいただきました。

仮名として、T会長とさせていただきます。

そこには、

「銀行に対するICOの考え方を100%信じると、

 小山さんのいうとおり、資金面で危ないときがあります。」を冒頭に、

T会長のお考えの礎となる、様々なご体験を詳細に記していただきました。

1970年代に会社を興され、自動車系の下請け企業として、

数々の苦難を乗り越え、後進に経営のバトンを譲られたのです。

長きにわたる貴重な実務体験を正直にお書きいただき、

感謝の気持ちでいっぱいになりました。

 

しかし、その大変なご体験・苦難に基づくお考えに対しても、

ICOとしての考えがあるのです。

今回は、大先輩への失礼を承知のうえで、

そのことについて、書かせていただきます。お許しください。

 

  • 普段のお付き合いがあればこそ、貸していただき、危機を乗り越えた

 

T会長は、バブル崩壊後、資金難に陥りました。

当時、自動車系の仕事だけでなく、輸入雑貨の商いも始められたのです。

貿易取引で商品を仕入れるには、先払いで多額の資金がいるのです。

当時の年商が150億で、必要資金は3年間で200億でした。

しかし、普段から融資のお付き合いのある銀行から借りれた、とのことです。

T会長はこのことを振り返り、

「ICOさんの言う通り、無借金のままで“200億出せ”と

 銀行に言えば、どこも相手にしてくれません。」

と述べておられます。

 

そもそも、銀行とのお付き合いは、借りることだけではありません。

支払い、振込み、手形決済、海外送金など、

銀行の各種機能は、経営管理に欠かせない存在なのです。

年商150億の会社とそのような取引をしている銀行なら、

その本丸の目的はひとつです。

お金を貸すことです。

時代はバブル崩壊後、1990年代です。

 

1985年のプラザ合意後、円相場の高騰を機にバブル経済が進行し、

数年後に崩壊しました。

その経緯のなか、銀行の立場も大きく変化しました。

バブル崩壊で資金需要は激減し、

銀行に残ったのは多額の不良債権の山だったのです。

いずれの銀行も経営難に陥っていたのです。

 

住友銀行のラストバンカーと呼ばれた元頭取、

西川善文氏は当時を振り返り、著書「ザ・ラストバンカー」のなかで

「銀行が床の間を背にしてお金を貸す時代は終わり、

 頭を下げてお金を借りていただく時代に変わった。」

と述べておられます。そのような時代背景なのです。

銀行優位の時代は終わっていたのです。

 

T会長の会社は自動車部品関連の会社です。

バブル崩壊の原因となった不動産業ではありません。

当時の取引銀行にすれば、

融資のつきあいがあろうとなかろうと、

財務的に問題のない状態であれば、融資をしたと思われるのです。

1行で厳しくとも、各種取引のある数行に声をかければ、

3年間で200億を調達できたのではないでしょうか。

 

そのような時のために、当座貸越枠があるのです。

当座貸越枠を確保していれば、

銀行には決算書を毎年提示しており、財務状況を伝えています。

日ごろは無借金でも、その枠内ですぐに資金調達できるのです。

私たちICOは、資金が必要な時のための備えを、

“日ごろから借りておくこと”と考えないのです。

“借りれるようにしておくこと”と考えるのです。

 

しかしT会長が“無借金だと200億は借りれなかった。”

と思われたのには、さらに根深い理由があったのです…。(続く)

 

(古山喜章)

2022年6月 3日 (金)

人を見て策を考える⑤

先日、相談に来られた九州地方でホテル業を営んでいる

九州開発(仮)の嵯峨社長(仮)ですが、

相談内容は、「ホールディングを設立したほうがよいか?」

というものでした。

 

昨日の続きですが、

会社をM&Aするということは、

その会社の株式を売る、ということです。

 

株式を売ることを考えたときに、

個人として売るか、

会社として売るか、

どちらがよいのでしょうか?

 

個人として売る場合は、簡単にいえば、

売却金額×約20%が税金です。

つまり、売却金額の8割が、手元に入ってきます。

 

それに対して、M&Aする会社の株式を

会社が持っていた場合は、どうなるでしょうか?

この場合は、売却益に対して、まずは法人税(約30%)がかかります。

そして、残りの7割が、会社に残ります。

 

この7割のお金は、当たり前ですが、

オーナー個人の懐には入りません。

これを個人の懐に入れようと思うと、

 

(1)配当する

(2)退職金で支払う

(3)会社を清算する

 

(1)も(3)も高い所得税がかかります(約50%)。

(2)退職金ですが、役員年数、また、これまでの役員報酬を多額にとっていないと、

高額退職金は受け取れません。

高額退職金を受け取ったとしても、そこでまた、約25%の税金がかかります。

 

つまり、一度、法人税で税金を払って、

そこからさらに、所得税(住民税)を払うということになります。

 

個人で株式を売るか、法人で株式を売るか、

どちらが得かは、言うまでもありません。

 

会社が複数あるから、ホールディングス化ではなく、

各社を将来どうしたいか、これを確認することが、

まずは大切になります。

 

(福岡雄吉郎)

2022年6月 2日 (木)

人を見て策を考える④

先日、相談に来られた九州地方でホテル業を営んでいる

九州開発(仮)の嵯峨社長(仮)ですが、

相談内容は、「ホールディングを設立したほうがよいか?」

というものでした。

 

会社は5社あり、祖業(不動産業)を核とする会社が、

1社あり、他は、ホテル業でした。

 

息子さんに継がせる可能性のある1社は、

高額退職金を出して株価を下げる、

ということで方針が決まりました。

 

「残りのホテル4社はどう考えたらいいですか?」

 

「この4社は、将来、息子さんに引き継がせるつもりは

ほぼないので、M&Aになりますね。

いまは、社長が個人として、株式をお持ちです。

そのまま、お持ちになってください。」

 

「ホールディングス化する必要はありませんか?」

 

「はい、そのままでいいですよ。

 

というのは、仮に、ホールディングス化すると、

4社の株式を持つのは、ホールディングス会社

ということになります。

 

将来、M&Aで株式を高くうれば、

当然、売却益が出ますね。

 

売却益が出たら、そこに当然、法人税がかかってきます。

しかも、それは、社長個人の懐には入らないんです。

 

個人で株式を持っていて売却した場合と、

手残りは全然変わってくるんですよ。」

 

「えぇっと、いまいちよくわからないんですが・・・」

 

(福岡雄吉郎)

2022年6月 1日 (水)

人を見て策を考える③

先日、相談に来られた九州地方でホテル業を営んでいる

九州開発(仮)の嵯峨社長(仮)ですが、

相談内容は、「ホールディングを設立したほうがよいか?」

というものでした。

 

会社は5社あり、祖業(不動産業)を核とする会社が、

1社あり、他は、ホテル業でした。

 

社長といろいろと話をすると、

祖業の不動産業は、息子に継いでもらえるなら・・・

他の4社は、M&Aでもよいかなぁ、という感じでした。

 

「社長、この不動産会社ですけど、

今後、どのくらい利益が出そうですか?

これまでと同じくらいのペースで、利益が出る感じですか?」

 

「はい、まぁ、そうだと思います」

 

「それなら、簡単ですね。

いま、剰余金、内部留保が1.5億円くらいです。

退職まであと10年だとして、税引後利益が、

毎年20百万円ずつ積みあがります。

ということは、10年後に、剰余金は3.5億円くらいです。」

 

「はい、わかります。」

 

「このくらいなら、退職したときに、

この剰余金、内部留保を、すべて退職金として、

もっていってください。そうすると、株価は額面まで落ちますよ。

株価対策で、ホールディングなんてつくる必要はないですね。」

 

「あぁ、そうなんですね。

 

でも、残りの4社はどうやって考えたらいいんでしょうか?」

 

(福岡雄吉郎)

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