「経営のミスリードにダマされるな!」への反論③
前回、「経営のミスリードにダマされるな!」のタイトルで、
武蔵野 小山昇氏の考え方とICOの考え方の違いを書きました。
すると、ある経営者から、大長文の丁重なる文章をいただきました。
仮名として、T会長とさせていただきます。
- 政府系銀行と民間銀行は、事業目的が違うのです。
T会長は、バブル崩壊後に、在庫用の倉庫を大幅に増設されました。
年商は最盛期の約半分に落ちていたものの、
円高効果と業績復調が功を奏してきたのです。
その必要資金30億円を、全額政府系銀行から調達されました。
しかも好条件です。
そのことを振り返り、
年商がダウンしていたにもかかわらず、
以前からのお付きあいがあればこそ、政府系銀行からの賛同を得て、
借りることができた、とされています。
ここでまず知っていただきたいのは、
政府系銀行と民間銀行の違いです。
民間銀行は、お金を貸して稼ぐことが目的です。
しかもそのお金は、人さまから預かった預金です。
なので、回収しなければ預かったお金を返せないのです。
倒産しても、とことん追いこみます。
その銀行への預金も必要になります。
資金使途についても、政府系ほどうるさく言いません。
むしろ使途がないのに、銀行にとっておいしい会社には、
どんどん貸そうとするのです。
半面、銀行にとって危険な会社には貸さないのです。
一方、政府系銀行は、政府の方針に基づいて、
お金を貸して事業支援すること自体が目的使命です。
稼ぐことは考えていません。
そのお金は、政府から捻出されます。
万一、貸し先が倒産しても、追いこみません。
預金も必要ありません。
しかもその都度の制度融資という枠に当てはまる事業であれば、
融資内容は借り手にとって、より好条件となります。
ただし、貸すお金の使途が政府の方針に見合うかどうか、
といった確認は、民間銀行よりもチェックが厳しいです。
政府のお金を使わせていただくので、当然そうなります。
なので、T会長が30億を調達できたのも、
お付きあいがあったから、ということよりも、
政府系銀行の趣旨に沿っていたから、
ということのほうが、調達できた主要因だと考えるのです。
お付き合いがあることで、
条件面など多少のプラス要素はあったかもしれません。
が、何より、政府系銀行の本来の趣旨に合わなければ、
お付きあいがあっても、調達することはできないのです。
政府系銀行と民間銀行は、その事業目的が違うのです。
融資を受ける際には、その違いを理解しておくことが必要なのです。
(古山喜章)
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