社員持株会の活用にも備えが必要です④
株主名簿を拝見すると、
株主名に「社員持株会」を見かけることがあります。
しかし、その規則を見ると、どこの会社も概ね同じ内容なのです。
「社員持株会」は、うまく使えば事業承継対策にもなります。
ただしその為には、いくつかの備えが必要なのです。
④オーナーから持株会には、株式を額面で譲渡できます
株価が高すぎて、オーナー保有の株式を、
後継者が全部買い取るには高すぎる、
という時に、株式の一部を持株会へ譲渡することがあります。
なぜなら持株会へは、株式を額面で譲渡できるからです。
「えっ、そうなんですか!」
と驚かれることがります。もっとひどいのは、
「うちの税理士は、
“たとえ持株会であっても額面で譲渡してはいけない!”
と言ってました。」
と、とんでもない嘘を教えられていることがあったのです。
結局、その嘘をついた税理士は、事業承継を扱ったこともなく、
株式の移動に関する知識はほぼなかったのです。
知らなければ「わからない」と言えばよいものを、
そうは言いたくないから、
“額面ではなく、時価評価額で譲渡すれば問題はないはず”
との思いで、そう言っていただけだったのです。
もう一度言います。
持株会へは、株式を額面で譲渡できるのです。
持株会は同族ではありません。
同族以外の者が株式を買う場合は、配当還元方式で買えるのです。
配当が10%以下なら、額面での譲渡が可能、というわけです。
「株数が30%以上だと、額面ではダメですよね。」
と言われることがあります。
その通りですが、正しくは、「議決権の30%以上の株式」です。
なので、
オーナーが保有する株式が、議決権の30%以上であっても、
昨日申し上げた、無議決権の種類株式に転換すれば、
議決権はゼロです。
そのすべてを同族以外の者へ、額面で譲渡することが可能なのです。
つまり、持株会という存在は、
事業承継の株式対策において、有効活用できる手段のひとつ、
なのです。
株価が高すぎて後継者の経済的負荷が大きすぎる、
というのであれば、
大いに活用を検討してもよいアイテムなのです。
(古山喜章)
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