人を見て策を考える⑤
先日、相談に来られた九州地方でホテル業を営んでいる
九州開発(仮)の嵯峨社長(仮)ですが、
相談内容は、「ホールディングを設立したほうがよいか?」
というものでした。
昨日の続きですが、
会社をM&Aするということは、
その会社の株式を売る、ということです。
株式を売ることを考えたときに、
個人として売るか、
会社として売るか、
どちらがよいのでしょうか?
個人として売る場合は、簡単にいえば、
売却金額×約20%が税金です。
つまり、売却金額の8割が、手元に入ってきます。
それに対して、M&Aする会社の株式を
会社が持っていた場合は、どうなるでしょうか?
この場合は、売却益に対して、まずは法人税(約30%)がかかります。
そして、残りの7割が、会社に残ります。
この7割のお金は、当たり前ですが、
オーナー個人の懐には入りません。
これを個人の懐に入れようと思うと、
(1)配当する
(2)退職金で支払う
(3)会社を清算する
(1)も(3)も高い所得税がかかります(約50%)。
(2)退職金ですが、役員年数、また、これまでの役員報酬を多額にとっていないと、
高額退職金は受け取れません。
高額退職金を受け取ったとしても、そこでまた、約25%の税金がかかります。
つまり、一度、法人税で税金を払って、
そこからさらに、所得税(住民税)を払うということになります。
個人で株式を売るか、法人で株式を売るか、
どちらが得かは、言うまでもありません。
会社が複数あるから、ホールディングス化ではなく、
各社を将来どうしたいか、これを確認することが、
まずは大切になります。
(福岡雄吉郎)
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