銀行取引で知っておきたいこと①
各社における銀行からの資金調達の実態を拝見すると、
「どうしてそんなことになるのか?」
ということがよくあります。
「そういうものだと思ってました。」
という回答をする社長が多いのは、
銀行取引に関しての知識が不足しているからです。
①短期借入金と長期借入金はどう違うのか
基本的に、短期借入金は運転資金のための借入金です。
1年以内に返済する借入金です。
「在庫がたくさんいるで、運転資金が必要になります。」
「回収が遅く、運転資金が必要になります。」
「一時的に賞与資金が少し足りません!」
という会社が用立てます。
一方、長期借入金は通常、設備、建物、土地など、
長期で活用する固定資産を購入する際に調達するものです。
つまり、短期借入金と長期借入金では、
その目的・役割が異なるのです。
なのに、設備資金を短期借入金で融資を受けている、
という会社がありました。
「どうしてそんなことになったんですか?」と社長に尋ねます。
「いやぁ、支店長から
“短期借入金でお貸しします”と言われたので…。」
とのことだったのです。
このように、
支店長が「短期で貸します」と言うのには、理由があります。
短期借入金は、支店長決済です。
長期借入金は、本部審査による決済が必要で、時間がかかります。
そのため、特に銀行の決算が近い3月や、中間決算の9月になると、
支店長が「短期で貸します」と言い出す傾向が強くなります。
「短期でもいいんじゃないですか?」という社長がいました。
短期は、1年での返済です。
長期で通常5年前後で借りるものを、
1年間の返済で返そうと思うと、返済額がその分、大きくなります。
資金繰りを厳しくする要因になるのです。
そもそも、設備は長期で稼ぐための資産です。
減価償却も5年~7年前後が多いです。
1年で返済しきれるくらい稼ぐ設備ならいいのですが、
そんなにうまい話しはそうありません。
で、返済しきれずに、
新たな短期借入金で返済資金をまかなうことになってしまうのです。
こうなると、借入金が膨らむだけで、銀行の思うツボです。
でありながら、
「短期ですぐに借りれた!」等と喜んでいる社長もいるのです。
銀行は、お金を貸して稼ぐプロなのです。
安易に銀行のいうことを受け入れることのないよう、
銀行取引に関する知識を、携えてほしいのです。
(古山喜章)
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