経理・給与は身内のほうが安心”の過ち➂
中小企業の場合、
経理・給与業務を身内の方が取り仕切っている、
ということが今もよく見かけます。
“身内のほうが安心だから”
というのがよくある理由です。
しかし、本当にそうでしょうか?
➂金庫番意識をはき違えて余計な投資をしてしまう
社長が知らない間に、
経理担当の身内の者が、銀行から進められ、
投資商品をいくつも契約していた、
ということがありました。
それは、社長の奥様が経理担当でした。
社長は銀行や資金繰りのことなど、
お金のことは奥様である経理担当に任せっぱなしでした。
最終的に社長が捺印しているものの、
なんの確認・チェックもせずに、押印していたのです。
そのため、社長は押印書類の内容を全く把握していない、
という状況だったのです。
そのような状況のなか、
銀行から勧められたデリバティブ商品を、
経理担当者としての資金運用策として、
借入金をしてまでどんどん契約していったのです。
当の本人は、デリバティブの内容など、まったく理解していません。
銀行から言われるがままです。
銀行もそれを知ってて、どんどん勧めたのです。
しかし、運用はほとんど失敗し、
多額の損失補填だけが残りました。
そこで初めて社長もそのことを認識したのです。
知らないとはいえ、社長自身が押印もしていたのです。
弁解のしようがありません。
その後、私たちの指導のもと、
損失をほぼ発生させない形で逃げ切りました。
が、まともに銀行から言われるがまま対応していたら、
おそらく銀行管理に陥り、破綻していたと思われるのです。
このように、経理担当を任された者が、
するべきではない投資に一存で契約してしまう、
ということが、起こりえるのです。
特に、身内で誰からのチェックもない、
となると、金庫番意識をはき違え、
自分の権限で何をやってもいい、と勘違いしてしまうのです。
この過ちが起こると、
会社の財務はかなり危険な状態に陥ります。
身内に経理を任せっぱなしなら、
資金繰りの状況を毎月報告させる、
貸借対照表に変化があれば内容を確認する、
見慣れない仕訳伝票があれば聞いてみる、
などすべきです。
チェックされている、と思わせてほしいのです。
それだけでも、大きな抑止力となりますから。
(古山喜章)
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