銀行取引で知っておきたいこと④
各社における銀行からの資金調達の実態を拝見すると、
「どうしてそんなことになるのか?」
ということがよくあります。
「そういうものだと思ってました。」
という回答をする社長が多いのは、
銀行取引に関しての知識が不足しているからです。
④担保・個人保証はいらない時代です
かつて、
融資には担保・個人保証が当たり前、という時代がありました。
当時は経済全体が成長期で資金需要が旺盛でした。
その為、お金が不足しており、
貸す側の銀行が優位な立場にありました。
そこで銀行は、回収できない時に備えて、
土地・建物に担保をつけ、社長に個人保証をさせたのです。
土地にも、それだけの価値があったのです。
しかし今や、時代は変わりました。
市場のお金は余り、銀行が頭を下げて借りてもらう立場になりました。
お金を貸すから担保をよこせ、等と言っていると、
融資が伸びない時代になったのです。
なぜなら、
「うちは担保なしで貸しますよ。」
という競合銀行が出てくるようになってきたからです。
金融庁も銀行に対して、
“担保に頼る融資はやめよ”と通達を出しています。
個人保証についても、
経営破綻した会社の経営者が追い込まれ、
一家離散や自殺が増えたのを契機に、金融庁が動きました。
「個人保証に関するガイドライン」が制定され、
“財務状況が悪い会社でなければ、個人保証をとってはならない”
と定められたのです。
既存の融資についても、個人保証は求められたら外しなさい、
となっているのです。
ただ、こうなっていても、銀行は担保も個人保証も、
以前とかわらずに要求してきます。
銀行担当者にすれば、とれればラッキーだからです。
それは自分の成績に加点要素となるからです。
そのため、
今でも融資時に担保・個人保証は必要なもの、
と思い込んでいる経営者がまだまだおられるのです。
もし、今も担保・個人保証があるのなら、
すぐに担当者を呼び、
「外してほしい」と交渉してほしいのです。
少なくとも個人保証は、外せます。
銀行は面倒くさがりますが、粘り強く交渉して外すのです。
数億円もの個人保証などしても、破綻時に払えるわけなどありません。
そんな重荷を抱えて気にし続けるより、
肩の荷を軽くして、日々の経営にまい進してほしいのです。
(古山喜章)
« 銀行取引で知っておきたいこと➂ | トップページ | 銀行取引で知っておきたいこと⑤ »
「銀行交渉」カテゴリの記事
- 銀行融資の担保・個人保証はすぐに外しなさい④(2023.07.14)
- 銀行融資の担保・個人保証はすぐに外しなさい➂(2023.07.13)
- 銀行融資の担保・個人保証はすぐに外しなさい②(2023.07.11)
- 銀行融資の担保・個人保証はすぐに外しなさい①(2023.07.10)
- 特別損失を活用しなさい(2023.05.02)
以前に、個人保証を外した体験を書き込んだ者です。
個人保証を外す交渉は、金融庁が銀行に指導する以前から始め、2015年に外すことが出来ました。
そのために、財務体質を強化する(自己資本比率を高める、不良資産をゼロにする、財務諸表分析を行い改善すべき点を見つけ改善する・・・)、銀行に対する情報開示をきめ細かくする(年次、半期は訪問して報告、2四半期は書面で報告)、会社に貸している土地を会社に売却する、等を行い、しつこく銀行に外して欲しいと要望しました。地銀1行が外すと、なし崩し的にメガバンクを含む全行外すことが出来ました。
また、TIBORに対するスプレッドを25bpまで下げることが出来ました。TDBの評価も62点まで上げ、地銀の格付けも上位2番目で中小としては最上位まで上げることが出来ました。
適切な情報開示を行い、強い財務体質を実現し、経営者と会社の間をクリーンな関係にする事が個人保証を外すことに繋がり、息子も安心して会社を継ぐことが出来るようになりました。
最終的には、経営者が強い意識を持って個人保証を外す努力をする、金融に関する知識を高めることが必要だと思います。
投稿: 高橋 將 | 2022年8月 4日 (木) 14時40分