銀行取引で知っておきたいこと②
各社における銀行からの資金調達の実態を拝見すると、
「どうしてそんなことになるのか?」
ということがよくあります。
「そういうものだと思ってました。」
という回答をする社長が多いのは、
銀行取引に関しての知識が不足しているからです。
②シンジケートローンは銀行のリスク分散です
「銀行に長期の借入をお願いしたら、
“シンジケートローンでいかがでしょうか?”
て言われました。
それって、いいんでしょうか?」
といった素朴な疑問をいただくことがあります。
シンジケートローンとは、
ある銀行がまとめ役(主幹事)になって、
3~4の銀行でまとまった金額の融資をすることです。
なので当然、
まとめ役としての手数料がそれなりに必要になります。
“シンジケートローンでいかがでしょうか?”
と銀行が提案してくるのは、銀行が、
“この会社にそれだけの金額を貸すのはリスクが高いな。”
と感じる時です。
要は、お金を貸す側にとってのリスク分散なのです。
中小企業の場合、3億円以上の融資の場合に、
このような提案を銀行から受けることがあります。
「うちは3億円以上でもシンジケートローンの提案なんて、
されたことないですよ。」
というのなら、貸す側として、そこまでのリスクを感じていないのです。
いわば、貸しても安心できる優良企業と判断されている、
ということです。
そもそも長期借入金は、5年返済が基本です。
「うちは1行で10年とか15年があります。」というのなら、
それだけ銀行からの信頼が厚い、ということです。
昨今、10年先や15年先に、多くの業界は先が読めません。
15年で返済を受けても、この業界でこの会社なら、
倒れることはないだろう、との判断を受けているのです。
格付け(スコアリング)の10段階でいえば、
1~4段階までに入っている会社です。
逆にそれ以下の格付けの会社だと、10年で交渉しても、
「5年でお願いします。」
「シンジケートローンでお願いします。」
などと言われるのです。
5年返済と10年返済では、資金繰りの厳しさが全然違います。
だからそうならないよう、
格付け(スコアリング)を向上させると同時に、
銀行の思考や知識を蓄えて、しっかり交渉してほしいのです。
(古山喜章)
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