“経理・給与は身内のほうが安心”の過ち②
中小企業の場合、
経理・給与業務を身内の方が取り仕切っている、
ということが今もよく見かけます。
“身内のほうが安心だから”
というのがよくある理由です。
しかし、本当にそうでしょうか?
②若い銀行マンの情に流されやすい
これは特に、
高齢の女性が経理担当をしている場合に、
起こりやすい内容です。
地方のある中小企業で決算書を拝見しました。
すると、短期借入金と現預金がやたらと多いのです。
なぜそんなにも多いのか、追及してゆくと、
そこには、経理で銀行交渉も担当している、
会長(先代社長)の奥様が大きく関わっていました。
現預金の内容を確認すると、定期預金が妙に多いのです。
いわゆる、歩積両建預金です。
金融庁は金融機関に対して、
企業にとって不要な歩積両建預金をさせてはならない、
という禁止通達を出している行為なのです。
「すぐに定期預金を解約して短期借入金を返してください!」
と言うと、その経理担当である先代の奥様は、こう言ったのです。
「銀行の担当者から涙ながらに頼まれると、断れません。
私たちも、銀行に助けてほしい時がありますから。」
結局、会長・社長の協力も得て説得し、
定期預金は解約することになったのです。
その後、改めてその経理担当の奥様と話しをしました。
「銀行担当の男の子が、自分の孫くらいの年齢の子だったので、
ノルマのこととか聞いていると、かわいそうになって・・・。
助けてやりたい気持ちで、借りてしまいました。」
このように話されたのです。
特に高齢の女性が銀行交渉を担当すると、
若い銀行担当男子の情に流されてしまう、
ということが、往々にしてあるのです。
銀行もそこを心得ているのか、そのような会社には、
若い新人を担当させたりするのです。
その後その会社では、その女性は退職され、
非同族の社員が後任の経理・銀行担当となりました。
当然、情に流されるような調達・運用は、なくなりました。
経理・銀行担当の者が、情に流されやすい人物だと、危険です。
特に、身内だから安心、
と思ってなんのチェックもしていないと、危ないのです。
情に流されて、余計な借入金や貸付金を発生させてしまう、
ということが起こりえるのです。
気づいた頃にはとんでもないことになっていた、
ということも、あるのです。
まずは、不要な定期預金がないか、
現預金の中身をチェックしてほしいのです。
(古山喜章)
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