銀行取引で知っておきたいこと⑤
各社における銀行からの資金調達の実態を拝見すると、
「どうしてそんなことになるのか?」
ということがよくあります。
「そういうものだと思ってました。」
という回答をする社長が多いのは、
銀行取引に関しての知識が不足しているからです。
⑤金利の相場を知る
日本銀行は、新規融資の平均金利を、
インターネット上で毎月公開しています。
グーグルやヤフーで“日銀 平均金利”と検索してください。
「貸出約定平均金利:日本銀行」というサイトがトップに出ます。
最新版は、7月29日に公開されたものです。
短期新規融資の平均金利は、0.465%
長期新規融資の平均金利は、0.891%
となっています。
常に、直近の6ケ月分が掲載されています。
その推移でみると、長期の0.891%は、この6ケ月で最も高い金利です。
推測ですが、
「金利もじわじわ上がってくるので、固定にされたらどうでしょうか。」
という感じの提案を銀行から受けて、
やや高めの金利で融資を受けるケースが増えているのでは、
と考えるのです。
しかし、
この平均金利を見て、銀行借入のある会社の方は、
どのように感じるでしょうか。
「うちはもっと低い!」なら構いません。
「うちは平均よりずっと高い!」というのなら、
しかも、自己資本比率が30%以上もあるのなら、
それは完全に、銀行の言いなりになっている、ということです。
加えて、金利はじわじわ上がるかもしれません。
しかし、銀行が提案する固定金利は、平均よりずいぶんと高いです。
借入期間が5年~7年なら、
平均並みの固定金利でない限り、変動金利にすべきです。
そんな急激に高騰するとは、到底考えられないからです。
ならば、変動金利で十分です。
わかりやすい話し、
銀行が「固定がいいです」と言えば変動で、
銀行が「変動がいいです」と言えば固定にする、
というくらいに考えたほうがよいですね。
要は、銀行の提案の裏を攻めたほうが、借りる側にとって、
プラスとなることが多いはずなのです。
なんの知識もなく、銀行の言うがまま応じるのが、
もっともリスクが高いのです。
銀行融資を受けるのなら、せめて金利の相場くらい調べて、
「いまはこんな状況じゃないですか。」
と提示してやればいいのです。
知識があるとわかれば、銀行の態度も変わってきます。
特にこれから、
銀行は金利を上げるチャンス、と考えているはずです。
そのような誘いにのらないよう、知識を身に着けてほしいのです。
最後に、8月4日にいただいた、うれしいコメントを掲載します。
ぜひ、参考にし、取り組んでください。
~以下、いただいたコメントです~
以前に、個人保証を外した体験を書き込んだ者です。
個人保証を外す交渉は、金融庁が銀行に指導する以前から始め、
2015年に外すことが出来ました。
そのために、財務体質を強化する(自己資本比率を高める、
不良資産をゼロにする、
財務諸表分析を行い改善すべき点を見つけ改善する・・・)、
銀行に対する情報開示をきめ細かくする(年次、半期は訪問して報告、2四半期は書面で報告)、
会社に貸している土地を会社に売却する、等を行い、
しつこく銀行に外して欲しいと要望しました。
地銀1行が外すと、
なし崩し的にメガバンクを含む全行外すことが出来ました。
また、
TIBORに対するスプレッドを25bp(=0.25)まで下げることが出来ました。
TDBの評価も62点まで上げ、
地銀の格付けも上位2番目で中小としては最上位まで上げることが出来ました。
適切な情報開示を行い、強い財務体質を実現し、
経営者と会社の間をクリーンな関係にする事が個人保証を外すことに繋がり、
息子も安心して会社を継ぐことが出来るようになりました。
最終的には、経営者が強い意識を持って個人保証を外す努力をする、
金融に関する知識を高めることが必要だと思います。
コメント寄せていただいた高橋様、ありがとうございました!
(古山喜章)
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