“経理・給与は身内のほうが安心”の過ち④
中小企業の場合、
経理・給与業務を身内の方が取り仕切っている、
ということが今もよく見かけます。
“身内のほうが安心だから”
というのがよくある理由です。
しかし、本当にそうでしょうか?
④役員報酬の額を知られたくない、という勘違い
「経理の入力業務は社員がしていますが、
給与関係だけは身内の者が担当しています。」
という会社がありました。
なぜですか?と聞いたら、次のような返答でした。
「取締役の役員報酬の額を知られたくないので。」
「えっ、それだけですか?」と思わず言ってしまいました。
その会社では、取締役は全員親族で、4名でした。
なかには、実際には全く業務に関わっていない親族もいました。
「知られるとまずいような役員報酬なんですか?」
と金額を聞いてみると、別に大した額でもありません。
しいて言えば、
業務に関わっていない親族に報酬が出ているくらいです。
それとて、好ましくはありませんが、よくある話しです。
なのに、
「いやぁ、身内以外の者が役員報酬をみて、
外部に漏らされると、よくないですから。」
とおっしゃるのです。
「身内なら漏らさないんですか?」
「漏らさないでしょう。」
「なぜですか?」
「身内ですから。」
と、もはや根拠なき思い込みなのです。
じゃあ日本中の会社の給与業務は身内がしているのか、
というと、そんなことはありません。
人数が増えれば、ムリなのです。
誰が給与業務をしようと、個々の金額をむやみに漏らすのは、
就業規則の服務規程違反です。
それに、給与業務をする従業員からすれば、
役員がいくらもらっていようと、そんなこと、
いちいち気になどしていないのが普通です。
給与業務だけは身内しかしないとなると、
従業員からすれば、
そのことのほうが不信感を買います。
もっと従業員を信じなければ、
結局、その会社の器をそれ以上に広げることはできません。
給与業務には適正もありますし、
しゃべりタイプの人材は不向きとも思います。
しかし、
大切なことだからこの業務は身内に、
などとすることは、対策の方向を誤っています。
そのような、
疑心暗鬼をベースにした業務分けは、やめてほしいのです。
(古山喜章)
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