銀行取引で知っておきたいこと➂
各社における銀行からの資金調達の実態を拝見すると、
「どうしてそんなことになるのか?」
ということがよくあります。
「そういうものだと思ってました。」
という回答をする社長が多いのは、
銀行取引に関しての知識が不足しているからです。
➂信用保証協会とは何か
中小企業の場合、銀行から融資を受ける際に、
信用保証協会のお世話になったことがあります、
という社長がほとんどです。
信用保証協会は、
各都道府県に定められた、公的機関です。
銀行融資を受けた会社が経営破綻に陥って、返済できない場合に、
代わりに返済をする、いわゆる代理弁済の機能があります。
通常は残った負債の70~80%を代理弁済します。
しかし、今回のコロナ融資の場合は、
特例で100%の代理弁済となっています。
だから、銀行はコロナ融資をバンバン進めたのです。
貸し先が倒れても、100%、保証協会から弁済されるのですから。
では、
信用保証協会が代理弁済するお金はどこから来るか、
ご存じでしょうか?
会社が協会に支払う保証料は、信用保証協会の運営費となります。
代理弁済のお金は、保証協会が政府系銀行に申請し、
代理弁済した金額を政府系銀行から受け取ります。
ということは、保証協会を通じて、
国が銀行の貸倒金を補っている、ということです。
しかも、銀行にとっての保険機能である保証協会の費用は、
お金を借りた会社が負担します。
銀行にとっては、ますますおいしい保険です。
だから、
「融資は保証協会付きでお願いします。」
と、銀行員は平気で言ってくるのです。
保証協会付きの融資獲得は、
銀行員の成績にとって、プラス要素なのです。
そもそも、保証協会付きでないと貸せないのは、
格付け(スコアリング)の低い、財務内容が悪い会社です。
なのに、
どう考えてもこの会社は保証協会なんていらないだろう、
という強い財務体質の会社が
「今回の融資は保証協会付きです。」ということがあるのです。
保証協会なしで融資を受ければ、保証料はいりません。
その分、低コストで融資を受けれるのです。
結局、銀行担当者から言われるがまま、
条件を受け入れているだけなのです。
保証協会付きでお願いします、と言われると、
そうしないとダメ、そうしないと借りれない、と思い込むのです。
決してそうではないのです。
「どうして保証協会付きなのか?説明してください。」
と言えばよいのです。
それで納得のゆく回答でなければ、
保証協会なしで融資を受けれるよう、交渉すればよいのです。
銀行に言われるままでは、コストがかかる一方なのです。
(古山喜章)
« 銀行取引で知っておきたいこと② | トップページ | 銀行取引で知っておきたいこと④ »
「銀行交渉」カテゴリの記事
- 「金利ある世界」に踊らされてはいけない⑤(2024.08.09)
- 「金利ある世界」に踊らされてはいけない④(2024.08.08)
- 「金利ある世界」に踊らされてはいけない➂(2024.08.07)
- 「金利ある世界」に踊らされてはいけない②(2024.08.06)
- 「金利ある世界」に踊らされてはいけない①(2024.08.05)
コメント