政府系銀行を活用しなさい⑤
銀行は大きく二つの系統に分かれます。
メガバンク、地銀、信金など民間の市中銀行と、
政策金融公庫や商工中金の政府系銀行です。
しかし、
この二つの系統の特徴をよく理解して、
資金調達をしている中小企業は少ないのです。
⑤経営破綻時の追い込みがない
民間銀行の場合、融資先が経営破綻に陥った際、
その債権を銀行系の債権回収会社(サービサー)へ売却します。
融資額の10%が相場です。
銀行にすれば、10%でも回収できればラッキーなのです。
そしてその不良債権を買った債権回収会社は次に、
オーナー経営者への取り立てに動きます。
10%で買ったので、それ以上の金額を取り立てれば、
上乗せ分が債権回収会社の儲けになる、というわけです。
逆に全く回収できなければ、買取に使った資金全額がパーです。
だから、必死に取り立てます。
その専門会社なので、容赦ありません。
執拗に追い込んでゆくのです。
ところが、政府系銀行はここが違います。
債権回収会社への売却がありませんし、取り立てもありません。
実際に経営破綻された会社の元社長にお聞きしました。
「政府系銀行からの借入金、8億円はどうなりましたか?」
するとその元社長はこう言いました。
「あれは全く返していないです。
担当者が資料を作成してきて捺印したら、それでチャラですわ。
あれは助かりました。」
「民間銀行の借金はどうなったんですか?」
「サービサーに売られて、そこからしつこく督促に来ましたね。
あれはなかなか、あきらめないですよ。
今もちょびちょび返せる範囲で返済しつづけてます。」
とのことだったのです。
政府系銀行の融資資金は顧客の預金ではなく、
貸すために政府から入ってきたお金です。
なので融資資金回収に、そこまで注力しないのです。
経営破綻はしないほうがよいです。
が、万一そのような事態に陥った際のリスクを思えば、
追い込みのない政府系銀行は、ありがたい存在なのです。
(古山喜章)
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