“経理・給与は身内のほうが安心”の過ち⑤
中小企業の場合、
経理・給与業務を身内の方が取り仕切っている、
ということが今もよく見かけます。
“身内のほうが安心だから”
というのがよくある理由です。
しかし、本当にそうでしょうか?
⑤次世代へのバトンタッチを考えない
「父は会長からもサッと退いたんですが、
母はいまだに常務で経理業務を離さないんです。」
と嘆く後継社長がおりました。
聞くと、その常務は70代半ばです。
「実際に仕事しているんですか?」と聞くと、
「実務は社員にさせていますけど、取り仕切ってはいます。
なので、最終チェックとかは全部、常務(母)がしているんです。」
とのことなのです。
「会長も退いたんだから、常務もそろそろ退職金もらって、
ゆっくりしてもらったら。
でないと、後任が育たないでしょ。」と言うと、
「そうなんですよ。
でもそれをいうと、途端に機嫌が悪くなるんです。
どうやら今の仕事を離したくないみたいなんですよ。」
と言うのです。
「なんでですか?」と尋ねます。
「まだ他の者には任せられない、
って言うんですが、させていかないと育ちもしませんしね。
でも結局、仕事が健康のバロメーターになっているので、
やめるのが怖いみたいです。」
とのことだったのです。
最終的には、
違う立場から後進育成への助言・アドバイスをお願いします、
ということで了承いただき、
それなりの退職金を差し上げることで、
ようやく常務から退任いただいたのです。
仕事を抱え込んでその立場を離さない、というのは、
女性の方に多いと感じます。
働くことで生活に張り合いが生じ、健康と若さを保てることを、
おわかりなのだと思います。
しかし、いつまでも同じポジションにおられても、困るのです。
身内であればなおのこと、
あまり強引に職務から外しづらいところもあります。
なので極力、経理などの重要な地位に身内の者がいるときは、
早くから、そのポジションをいつの時点で離れるのか、
伝えて認識しておいてもらう必要があるのです。
あとで困るのは、後継社長なのですから。
(古山喜章)
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