たまには定款を見直しなさい④
事業承継の案件に関わる際は必ず、定款を確認します。
しかし、定款のメンテナンスは案外されておらず、
いつか作成して登記したまんま放置され、
全く改訂されていない、ということが多いのです。
しかし、
定款は会社の根幹を成す重要なエビデンス(証拠書類)です。
もう少しその内容に、敏感になってほしいのです。
④監査役を置かない
「うちの会社には監査役がいないんです。」
というケースがあります。
これは前回に述べた、取締役会を置かない会社、と連動します。
会社法上、
取締役会を置かない会社の場合、監査役を設ける必要がありません。
なので定款上、“取締役の人数は1名以上とする。”
と定めている会社、ということになります。
但し、取締役会はなくても、監査役を置くことはできます。
監査役が必要、となると、
中小企業の場合、多くは社長の母親や奥様など、
ごく身内の人物を選任しているケースが多いです。
が、そのほとんどは、実態を伴わない監査役です。
「そんな監査役なら、うちの会社には必要ないです。」
という会社や、子会社・別会社の場合、
監査役を置かない、とされているケースが多いです。
ただ、監査役を置く、というのは、
単に監査機能を求めるだけではない場合もあります。
親族を監査役に置き、月額10万や20万、報酬を出す。
そうして利益を分散させる。
あるいは当人に課税のない範囲で報酬を出す。
要は、お金を身内の財布にためてゆく、
という機能もあるのです。
ただしその場合、
監査役が全く何にもしていない、となると、
税務調査でつつかれることもあります。
「何にもしていないのに報酬を出すのは、損金として認めない。」
などという、半ば言いがかり的な指摘を受けるケースです。
せめて月に一度は、簡単な監査チェック報告書に署名・捺印をする、
などといった、エビデンス(証拠書類)を残してほしいのです。
グループ会社を含め、監査役を置くか置かないか、
ということも、各社の経営判断です。
定款次第でどちらも選択可能です。
自社にとって最適な策を選び、定款を整備してほしいのです。
(古山喜章)
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