給与制度の変革時代➂
「今の給与制度のままでは、
これからの環境変化に適応しきれない」
と感じておられる中小企業の経営者が多いです。
30年間のデフレが終わりつつある昨今、
給与制度は変革の時代に入ろうとしているのです。
➂職能資格型より、職務資格型が現実的
中小企業を含めて日本の多くの会社は、
今も職能資格制度による給与体系で運営しています。
それが、「Aさんは〇等級の〇号俸」という形で
基本給を決める仕組みです。
1等級から2等級へと等級が上がるには、
人事考課や昇格試験を連携させます。
そして、各等級に所属する社員から、
その等級に見合った役職者を選びます。
3等級は主任・係長、などと、能力と役職をひもづけているのです。
その等級の人物は、その役職となる仕事の能力がある、
という考え方です。
なので、まずは係長なら係長に該当する等級になることが、
先決になります。
しかし、大企業はともかく、
中小企業の場合、そもそも有能な人材が少ないです。
その等級から選ぶ、というほど潤沢な人員状況ではありません。
「店長は3等級なんですが、他に3等級の社員がいません!」
出店が続いた小売業の会社で、このようなことがありました。
「じゃあ、2等級の山田さんを3等級に上げて店長にしよう。」
と、等級昇格のルールなどおかまいなしに、
無理くりに3等級にあげて店長にしたのです。
その後もそのような人事が乱発し、
イレギュラーな対応ばかりになっていったのです。
結局、その会社では
「うちにこの制度では、実態とそぐわない。」となりました。
変わって始めたのが、職務資格型です。
店長になれば3等級、という具合に、
職位を優先する制度に変えたのです。
そうすれば、待遇も職位に合わせて変わります。
役職を降格すれば、給与も減ります。
「うちにはこのほうが使いやすい。」
となり、今も職務資格型の給与体系で運営されているのです。
「職能資格型はなじまない」
「処遇に不具合が多々生じている」
という会社は、役職で等級を決める、
職務資格型の給与制度への見直しをお勧めしたいのです。
(古山喜章)
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