給与制度の変革時代④
「今の給与制度のままでは、
これからの環境変化に適応しきれない」
と感じておられる中小企業の経営者が多いです。
30年間のデフレが終わりつつある昨今、
給与制度は変革の時代に入ろうとしているのです。
④人数を減らし賃金を上げ、人材確保力を高めなさい
顧問先の会社で、来年新卒採用の初任給を聞きました。
水道工事を主たる事業とする会社です。
経営者が言いました。
「今回はぐっと上げて、303,000円です。」
「えっ!30万ですか!」
「それぐらいしないと、今の世の中、
水道工事屋に新卒なんてきませんよ。」
と言われ、まあ、それもそうだな、と納得してしまいました。
「ということは、他の社員もそれなりに、給与を上げるんですか?」
「まあ、そうなるでしょうね。」
その会社は、顧客のニッチなニーズに対応する、高収益体質です。
そもそも、これまで高額の賞与を支給しています。
その部分を世間並みに抑えれば、基本給を大幅に上げても、
トータル的な労務費でいえば、そう大きく上げずに対応できる、
というわけなのです。
社員にしても、賞与が減っても月齢給与が上がり、
年収ベースで変わらなければ、不満は出ないのです。
今後、賃金相場は間違いなく大きく上がります。
その相場に大きく乖離がある給与では、人材を確保することは、
とうていできないのです。
では、今の人数で給与を大きく上げれるか、と言えば、
多くの中小企業は対応できないはずです。
冒頭にあげた会社も、少人数で運営する形にしたからこそ、
新卒初任給を大きく上げることができたのです。
人数を1割減らし、給与を1割上げる。
まずはこの数字を目標に、
デジタル化、システム化、機械化、ロボット化、
などにより、生産性を向上させることです。
加えて、提供する商品・サービスの価値を高め、
売上総利益を上げるのです。
「あんたとこやないと困る。」
と顧客から言われる存在になることです。
それが、商品力であり、粗利益となるのです。
粗利益を上げ、人員数を減らし、賃金を大きく上げる。
その際の給与制度は、
業績貢献度の大きい立場・役割ほど、大きく報いる制度にする。
高コスト時代となる今後、
人材確保力の強い会社が、より強い会社となってゆくのです。
(古山喜章)
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