たまには定款を見直しなさい①
事業承継の案件に関わる際は必ず、定款を確認します。
しかし、定款のメンテナンスは案外されておらず、
いつか作成して登記したまんま放置され、
全く改訂されていない、ということが多いのです。
しかし、
定款は会社の根幹を成す重要なエビデンス(証拠書類)です。
もう少しその内容に、敏感になってほしいのです。
①株券の不発行
各社定款の概ね第6条くらいでしょうか。
“当会社は、株券を発行する。”となっている場合があります。
「株券、発行しているんですか?」
と社長に尋ねると、
「いやいや、そんなもの、見たこともないですよ。」
となります。
実際は発行などしていないのに、発行する、となっているのです。
おそらくどこかの時点で発行しないことにされているのでしょうが、
定款は変えずにそのまま、というパターンです。
「他も変えることがあるときに、一緒に変えよう。
変更して登記するにも、お金がかかるから。」
とった理由が多いようです。
株券を発行する、となっていると、そのあとに必ず、
・株券の種類
・紛失時等、再交付の取り扱い
・再交付に係る手数料
といった条文が続いてゆきます。
3つくらい、条文が増えるのです。
“株券を発行しない”とすると、
それらの条文も削除することとなります。
それだけでも、スッキリした感じになるし、
実態と合わないより、違和感のない感じになります。
定款を変更するには、株主総会の特別決議が必要となります。
特別決議なので、3分の2以上の議決権による決議です。
過半数ではないのです。
定款変更はそれほどの、重要事項なのです。
定款には、株主、取締役、監査役の、
権利に関する取り決めが記載されています。
なので、事業承継やお家騒動の際には、
必ず確認することとなります。
特にお家騒動では、定款がどうなっているか、
ということが、事の行方を大きく左右します。
それくらい、定款は重要なのです。
なのになかには、
「定款がどうしても見つかりません。」
というケースもあるくらい、重要視されていないのです。
特に子会社でこのケースが多いです。
で結局、「ないなら作りましょう。」となるのです。
中小企業ではあまり触れることのない、
定款に関することを、書いてゆきたいと思います。
(古山喜章)
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