たまには定款を見直しなさい➂
事業承継の案件に関わる際は必ず、定款を確認します。
しかし、定款のメンテナンスは案外されておらず、
いつか作成して登記したまんま放置され、
全く改訂されていない、ということが多いのです。
しかし、
定款は会社の根幹を成す重要なエビデンス(証拠書類)です。
もう少しその内容に、敏感になってほしいのです。
➂取締役会を置かない
会社に取締役会が存在する場合、定款には必ず、
“当会社は取締役会を設置する。”との記載があります。
逆に、その記載が定款になければ、
取締役会を置かない会社、となります。
取締役会がある会社とない会社では、
会社法上、取締役の人数に違いがあります。
取締役会がある会社は、取締役の人数は3人以上必要です。
取締役会がない会社は、取締役1人以上でOKです。
なので、比較的小さな会社を想定した、会社法の仕組みです。
「取締役会がなければ、決議の記録など、
いわゆるエビデンス(証拠書類)はどうするんですか?」
と聞かれることがあります。
取締役会がない会社の場合、必要な意思決定の書類は、
“代表取締役による決定書”として、残します。
つまり、社長1人の決定でよく、その記録を文書にして残す、
ということになります。
複数の取締役がいても、取締役会がなければ、
社長の決定と社長の署名捺印だけで完結します。
取締役会がなければ、何日前までに招集通知を出す、
等といったわずらわしい手続きやその条文は必要ありません。
取締役会がない分、定款は少しすっきりした感じにはなります。
3名~4名の取締役がいるものの、取締役会がない、
というケースもあります。
取締役が親族ばかりの中小企業の場合、
このパターンを見かけます。
「なぜ、取締役会を置かない会社にされたのですか?」とお聞きすると、
「司法書士の先生から勧められて。」という事が多いです。
“大企業ではないのだから、取締役会がないほうが楽ですよ。”
といったことで、取締役会を置いていないのです。
特に子会社や別会社などの場合、取締役会を置かない、
ということで十分かと思われます。
中小企業各社の定款を拝見していると、
10社に1社程度、取締役会を置かない会社、に出会います。
自社やグループ会社で、“それもありだな”という場合、
取締役会を置かない会社に定款変更することも、
ひとつの考え方なのです。
(古山喜章)
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