経営者保証改革プログラムが公表されました⑤
2022年12月23日、
経済産業省、金融庁、財務省の連名で、
「経営者保証改革プログラム」が公表されました。
詳細はこちらから。
いまだに無くならない銀行の個人保証に、
政府が金融機関に対して強権を発動したのです。
⑤コロナ融資の借り換え保証制度の設立
今回の改革プログラムでは、
「コロナ資金繰り支援」という項目も設けられています。
具体的には、次の3項目です。
1)コロナ融資からの借り換え時の保証制度創設
100%保証を継続させ、銀行に個人保証をとらせない。
(コロナ融資:担保ゼロ・金利ゼロの、いわゆるゼロゼロ融資)
2)コロナ禍から事業再構築の投資にも1)の制度を対応
補助金が入金されるまでのつなぎ融資についても、
100%保証の融資で対応する。
1)2)とも、2023年1月10日から運用。
3)政府系銀行による低利子融資の要件緩和
コロナの影響で借入金が膨み、債務償還年数が13年以上の場合、
売上減少の要件を満たさなくても、
コロナ時の低利子融資の借り換えを認める。
2023年2月1日から運用。
コロナ禍の打撃が大きい、飲食店業、宿泊・レジャー業等では、
その多くがコロナ融資で資金繰りを乗り切りました。
しかし一方、借入金はかなり膨らみました。
「コロナ前に近い状況に業績が復活しても、
これだけの借入金を返すのに、何年かかるのか?
それまで同じ条件で借り続けられるのか?」
という心配を、関連業種の皆さんは、抱えておられます。
銀行は、お金を貸した会社が、
そのお金を何年で返す力があるのか、を毎年確認します。
それが、上記3)で出てくる、債務償還年数です。
その計算式は、次のとおりです。
債務償還年数=借入金総額÷(営業利益+減価償却費)
7年以下であれば、健全です。
それが倍近くの13年以上であれば、危険信号です。
しかし、コロナ禍の影響でそうなったのなら、
それは政府としても支援をしましょう、
というのが今回の制度です。
今後の資金繰りに心配がある中小企業にとっては、
大いに助かる新制度です。
とはいえ、その制度も内容を把握していないと、
活用のしようがありません。
コロナ禍の影響を受けた会社の経営者や財務担当者は、
その支援内容を十分に理解し、ムリのない事業継続に、
活かしてほしいのです。
(古山喜章)
※本年も「ICO経営道場」をお読みいただき、ありがとうございました。
新年は1月4日より掲載します。
みなさま良いお年をお迎えください。
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