マイナス決算を活用して埋蔵金を掘り起こしなさい⑤
「今年は原料高と光熱費の高騰で、
どう転んでも決算の当期純利益はマイナスになりそうです。」
という声を聞く機会が、今年は時折あります。
しかし、そのような時にこそ、
取り組んでいただきたいことが、あるのです。
⑤債務免除益を活用する
コロナ禍の影響で大赤字に陥った会社がありました。
サービス業の会社です。
その会社は少人数私募債を発行し、
退任した会長がその私募債を引き受けていました。
会長が言いました。
「コロナで新しい借金もあるし、
私募債は別に返してもらわなくてもいいですよ。
銀行借入と私募債の両方を返そうと思ったら、
あと何年かかるかわからないでしょうから。」
息子の社長もそのお言葉をありがたく受け、
会長には少人数私募債の債権放棄をしていただきました。
少人数私募債は、会社にとっては借入金です。
それを放棄していただくのは、返済の免除を受けることになります。
この場合、“債務免除益”という特別利益を計上することになります。
その会社はコロナ禍の影響で、
当期純利益の大赤字を免れない状況でした。
なので、債務免除益を出しても、
その大赤字が黒字にまで転換することはありませんでした。
小幅の赤字でおさまったのです。
債務免除を受けず、そのままの大赤字だと、
純資産はマイナスになり、債務超過となる数値でした。
債務免除益をたてたおかげで、
債務超過になることを避けることができたのです。
少人数私募債を発行して経営者が引き受けることをお勧めすると、
「それって最後はどうなるんですか?」
と質問されることがあります。
「返済しないまま相続になったら、相続財産ですね。」
というと、
「じゃあ、手元においといても一緒ですね。」
と言う方がおられます。
しかし実際に、マサカの坂で大赤字に陥った時、
少人数私募債だったから、今回のような決断がすぐにできたのです。
また、大赤字を回避する、という債務免除益を活用できたのです。
手元においてあるお金であったら、
そのお金を会社に入れても、会社は借入金が増えるだけです。
債務超過を避けることは、できなかったのです。
そもそも、手元にそのまま残っていたどうかも疑問です。
マサカの坂の折、
少人数私募債はこのような活用もできるのです。
会社が大赤字を免れない、という状況のときは、
何か利益になるものを計上できる策はないか、
見出してほしいのです。
(古山喜章)
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最後にどうなるか、どうしようか、雑収入にあげるのかいろいろ考えておりましたので、大変に参考になりました。ありがとうございました。
投稿: 少人数私募債活用しています | 2022年12月 2日 (金) 09時16分