政府から金融機関へ通達が出ました④
2022年11月28日付けで、
岸田首相、各大臣名義にて、金融機関代表者宛に、
通達が出されました。(こちらです。)
その内容には、
コストインフレとコロナ後の経済再生へ向けての、
借り入れ事業者に対する支援要請が記されています。
その内容を、確認してゆきたいと思います。
④資本性借入金(劣後債)への転換
「コロナ禍とコストインフレで業績が悪化した企業でも、
事業内容を評価して、柔軟な資金繰り支援をしなさい。」
と、政府からの通達には記載されています。
貸し渋り・貸しはがしを行ってはならない、
とのことなのです。
その具体策のひとつとして、
資本性借入金(劣後債)への転換が挙げられています。
固定負債であることには変わらないのですが、
資本金の一部として評価する、というのが資本性借入金です。
劣後債、というのは、破綻時の弁済順位が低い、
あとまわしになる、という意味です。
劣後債に借り換えて、返済猶予を受けながら、
その負債を自己資本として評価することで支援しなさい、
とのことなのです。
その代わり、金利は高くなります。
劣後債という、ハイリスクの融資なので、
金利が高くなるのは当然なのです。
どういう場合にそのようなことが可能なのかまでは、
記載はされていません。
要は、安易に融資を打ち切って経営破綻させてはならない、
ということを政府は金融機関に求めているのです。
同じ「劣後債」という意味では、少人数私募債も同様です。
会社が発行し、少人数(49口以下)で請け負う社債です。
固定負債に入りますが、銀行は、自己資本とみなします。
弁済順位が低く、
経営者や身内の者が自前のお金を差し出しているからです。
手元のお金を少人数私募債に活かせるなら、
銀行融資で調達するより、少人数私募債のほうがよほど健全です。
金利を3%から5%と高く設定しても、
リスクのある劣後債だから、ということで対応できるのです。
銀行融資を劣後債に切り替えるのは、最終手段のような手法です。
その後の銀行との関係を考えると、あまり使いたくない方法です。
それよりも、
日ごろから少人数私募債を運用するなどし、
資本性借入金(劣後債)の強みを活用してほしいのです。
(古山喜章)
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