なぜ、貸借対照表を見ないのか②
月次決算をすれば、毎月、
損益計算書と貸借対照表を見ることができます。
ところが、「貸借対照表を毎月見ます」
という経営者は、ほとんどおられません。
会社のお金の状況や財務体質がわかるのは、
貸借対照表なのに、見るのは損益計算書ばかり、なのです。
なぜ、貸借対照表を見ないのか?考えてゆきたいと思います。
②毎月の変化があまりない
損益計算書は、その事業年度の累計数字です。
月を追うごとに、売上高、売上総利益など、
数字が膨らんできます。
営業利益が黒字ならば、その数字も膨らんできます。
良くも悪くも、打つ手に結果が出ているように感じます。
経営者にとっては、ちょっとワクワクする要素があります。
一方、貸借対照表は、ある1日の財務体質を表したものです。
12月31日なら、その日の財務体質です。
正直言って、前月末日と、そう大きな変化がありません。
そのためもあってか、
貸借対照表を読める経営者でも、毎月見ています、
という方は、案外少ないのです。
貸借対照表を読めない経営者であれば、なおさらです。
前月末とほぼ変わらない資料を見ても、
見るポイントもわからなければ、気になるところが全くないのですから。
先日お会いした経営者は、
毎月の貸借対照表を見ることを、楽しみにしていました。
「自己資本比率がちょっとでも高くなれば嬉しいし、
低くなれば、悔しいんです。」
と、言っておられました。
その方は、貸借対照表を読める経営者だったのです。
そのような方ですから、
貸借対照表を磨くことに注力されていました。
その結果、強い財務体質を確立されているのです。
確かに、貸借対照表は、毎月の変化は少ないです。
しかし、変化していないかと言えば、変化しているのです。
現預金、売掛金、買掛金、未払金、短期借入、長期借入、
純資産合計、などなど。
事業が動いていれば、数字がまったく変わらない、
ということは、ありえないのです。
加えて、貸借対照表の数字が大きく変わるのは、
何らかの財務施策を行った時です。
多すぎる現預金を返した、
新調達をして長期借入金が増えた、
オフバランスをして剰余金が大きく縮んだ、等など。
これらはどれも、経営者の意思決定によるものばかりです。
言い換えれば、財務体質を日々にらみつつ、
見えてきた課題に取り組めば、貸借対照表は大きく変わってくるのです。
月次決算をされているならば、
損益計算書だけではなく、
貸借対照表の内容にも毎月、目を通していただきたいのです。
(古山喜章)
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