なぜ、貸借対照表を見ないのか④
月次決算をすれば、毎月、
損益計算書と貸借対照表を見ることができます。
ところが、「貸借対照表を毎月見ます」
という経営者は、ほとんどおられません。
会社のお金の状況や財務体質がわかるのは、
貸借対照表なのに、見るのは損益計算書ばかり、なのです。
なぜ、貸借対照表を見ないのか?考えてゆきたいと思います。
④社内に共有できる者がいない
損益計算書の場合、
その科目や内容など、社内に共有できている者が複数います。
売上高、原価、売上総利益、人件費など、
経営幹部のメンバーなら、概ね、通じるはずです。
その中で、今月は良かったのか、悪かったのか、
何が原因なのか、などを協議検討することになります。
ところが、貸借対照表の場合、
そもそも、社内に読める人物がいなければ、
貸借対照表に触れている社員も少ないです。
多くは、経理担当と社長のみ、です。
経理担当は、貸借対照表の見かたはわかるものの、
そこにどのような課題があるかまで、
わかる人は少ないです。
表の仕組みとしては理解している、
という経理担当がほとんどです。
結局、社内に貸借対照表を同じ目線で共有できる、
という社員が多くの中小企業では、いないのです。
そうなると、貸借対照表を見なくもなるし、
協議検討することもなくなってしまいます。
貸借対照表にこそ、財務の体質が現れ、
その課題を解決してゆくことで、
急な荒波にも耐える体力が、会社についてきます。
回収を早くする。
在庫を減らす。
必要な投資をする。
借入金を減らす。
貸借対照表を経営幹部で共有している会社は、
課題を共有化し、解決へと数年かけて動いてゆきます。
5年、10年すれば、
貸借対照表の中身は大きく変わり、
強い財務体質へと変化してゆきます。
社長が貸借対照表を理解することは先決ですが、
同時に共有できる幹部陣を育てることで、
課題の解決が早く進むようになります。
共有する幹部がいれば、
貸借対照表を見て協議する機会も増えてきます。
ぜひとも、社長だけでなく、
複数の経営幹部が貸借対照表を理解できるよう、
書籍やセミナーに、触れていただきたいのです。
(古山喜章)
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