事業承継マサカの坂③
鳥取テクノ(仮称)は、
創業者である米子一郎会長(仮称)から、
甥っ子の米子卓也社長への事業承継を行いました。
もともと卓也社長の一部の素行に対して、
あまりよく思っていなかった一郎会長でしたが、
世代交代してより一層そう思うようになった、
ということでした。
一郎会長と卓也社長は、
メールでやりとりをしており、
そのやりとりを見ても、
雰囲気は明らかに悪い様子です。
少し前には、
「この状況なら、私は辞めさせてもらいます」
などと、社長から会長にメールがあったくらいです。
会長の話、また、メールでのやりとりを見る限り、
確かに卓也社長には、「感謝」が足りないようにも思えます。
特に、会長からすると、卓也社長には、
自己負担なく、議決権の99%を持たせており、
(種類株式の導入により実行)
このありがたみが、全く分かっていない、
もっと感謝すべきだろう、と思っているのです。
卓也社長は、周囲に対して、
「株については、会長が色々と進めており、
自分はよく分からない。
それでも、議決権の100%は自分が握っている。」などと吹聴している、
というのが、また気に食わないのです。
役員報酬も年間で2,500万円ほど、普通ではもらえない額です。
もともと、こらえ性がなく、社会人として長続きしなかったところを、
自分が拾ってあげた、という思いもあるのです。
確かに、一郎会長の思いもよく分かります。
しかし、一郎会長にも、「辛抱」が足らないのです。
もともと、代表権を返上して、退職金を取る、
という時点で、経営権は卓也社長に譲る、
と決めていたはずです。
ところが、話を聞いてみると、
まだまだ会社離れができておらず、
卓也社長の箸の上げ下げまで、気になる様子。
これはこれで頂けません。
「自分はこうしてきたから、新社長にもこれくらいはしてほしい」
という思いが強いのです。
また、幹部陣も、新社長の方針に対して、
「会長が新社長のアイデアは無視しておけばよい」
などと伝えているのが、新社長にも間接的に伝わっており、
コミュニケーションを上手く行えていないのです。
対策としては、
誰か2人の中に入って冷静に判断してくれる、アドバイザーを探すこと
メールというコミュニケーションの在り方を変えること
会長に少しの辛抱、社長にも少しの感謝があれば、
よくなりますが、これがなかなか難しいですね。
(福岡雄吉郎)
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