設備の古さを自慢してはいけません
私は 固定資産の大きいことを良しと思っていません。
昭和生まれの老齢経営者は、油の臭いのする現場に立ち、
機械の動く音でその調子の良し悪しを聞き分ける。
それを生産人の誇りと思い,生き生きと働く。
世の中にはそんな多くの人物がいらっしゃいます。
「会長がよくおっしゃるのはこの機械ですか!
30年前 45歳の折、あの頃で1億を超えるこの機械を購入されたのは!」
「そうなんです。親爺に反対されましたが、
私の責任!と 皆の反対を押し切って購入したんです。
今日までの業績の一端をこの機械が支えてくれたんです」
「しかし、この機械を使いこなせるのは会長しかできないのではないですか?」
「そうなんです 困ったものです。
難しいとか現場が熱いとか言って、すぐに新人を入れても、
ケツを割ってしまうんですよ!今時の若い奴ときから・・・」
「しかし、今 これと同等の性能以上でIT化したものが出現していると聞いたのですが・・・・」
「先生! それ いくらいると思っていますか?
3億はしますよ! 金は準備できても償却を考えると利益性が悪くなりますよ!」
「確かに30年も使ってきたので償却は今やゼロですね! ですから会社に利益が出たように見えているのですよ!
会長! あと何年この機械を使いこなされるのですか?
会社の今後を考えたとき、一時も早く新鋭設備を導入して即時償却すれば
未来の利益が確保できるじゃありませんか!
昔と異なり、今や償却を早めることができ、節税策になり現金が残るのです」
「全額落ちたら赤字になるじゃありませんか?」
「営業利益、経常利益は黒字です。特別償却は特損になり税前利益から引かれるので銀行はかえって褒めてくれますよ!」
「そうなんですか・・・・」
「最新式の設備を入れ、ライバルとの製品の差別化を図り、若い人材、女性でも扱える設備にして 労働生産性を上げるべきでしょう。赤字が出るのではありません。節税(現金流出を止める)することによりキャッシュフロー、すなわち現金が残ってくるのですよ。
なんといっても今日の課題は製品の精度を上げ、人件費を下げることです」
岡山に大善株式会社(社長 吉井久人氏)という厚紙から段ボール板を製造し、クライアント別に印刷、トムソンカットを一貫する優良企業があります。特にここの設備は目を見張るものがあります。
例えば、段ボール板から印字、トムソンカットする一貫の設備はドイツ製の最新設備が速いスピードで製品にしてゆきます。
社長は常にこうおっしゃっています。
「3年使って、次に新鋭の機械に入れ替えます。3年以内の機械は高く引き取ってくれます。新式機械は即時償却します。良き機械は文句も言わず、残業も厭わず正確に働いてくれます」
(井上和弘)
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