銀行の提案に気をつけろ①
「先生、銀行からこんな提案が来たんですけど、
みてもらえますでしょうか?」
といった相談を、一年に数回は受けています。
しかし、これはいい提案だからやったほうがよい、
という内容はまず、ありません。
結局は、銀行が儲かるための提案ばかりなのです。
①事業承継のことで提案があります。
何度見たかわからないのが、
「後継社長が株を100%持つ持株会社を作って、
先代が持つ株式をその新会社で買い取りませんか?」
という提案です。銀行は続けて言います。
「新会社で株式を買う資金は、私共で準備いたします。
あとは配当金をもとに、返済していただければいいんです。」
一見、いい話しのように聞こえるものの、
よくよく考えれば大きな借金を背負う話しです。
そこで社長も後継者も、はたと考えなおし、
われわれの元に相談に来られたりするのです。
案の定、
このスキームは2017年頃、税務当局から否認を受けました。
持株会社は何の機能も果たさず、
オーナーの相続対策としてのものである、との見解からです。
おそらく、どこかの税務調査において、
銀行からの提案資料を見られたのです。
提案資料のタイトルは概ね、
『オーナー様の株式 相続対策へのご提案』
などと記載されてあり、
相続対策を前提とした資料になっているからです。
結局、銀行は自分で自分の首を絞めたような格好になったのです。
あれから5年を経過し、それでもいまだに、同様の提案を見かけます。
以前の否認された頃と少し違うのは、
“持株会社に管理部門を置く”
など、株式を持つだけの会社ではない、ということです。
上場会社にあるような、
ホールディング会社の機能を持たせましょう、
というわけです。
しかしそれにしても、たかが年商10億や20億円の中小企業で、
上場会社のようにホールディングス化する、
というのも不自然でしかありません。
規模的にみて、そんなことをする必要性がないのですから。
形はどうあれ、
銀行からの借金を元にしたスキームであることには変わらず、
社長やオーナーにすれば、腑に落ちない提案なのです。
それでもこのような提案が今も出回るというのは、
それなりに、この提案を受けてしまう会社がある、
ということだと思うのです。
おそらくこのブログを読まれている会社でも、
そういえばそんな提案が来た!という会社があるはずです。
くれぐれも申し上げますが、
そのような提案には、絶対に「ノー!」と強く言ってほしいのです。
(古山喜章)
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