なぜ、そんなに現預金を積み上げるのか①
貸借対照表を拝見すると、
現預金が月商の2倍、3倍ある一方で、
負債に長短借入金がどっさりある、
というケースをまだまだみかけます。
「なぜ、借金をしてまで現預金を抱えるのですか?」
と聞くと、「何かあったときのために。」と言われます。
しかし、借金し続けることだけが、その対策ではないのです。
①当座貸越枠を活用しなさい
「何かあったときのため」の銀行調達は、
通常の短期・長期の借入金だけではありません。
『当座貸越契約』という融資方法もあるのです。
銀行との当座貸越契約で、
すぐに借りれる上限金額を設定してもらいます。
それが5千万円なら、上限5千万円までの金額を、
企業側はすぐに借りることができます。
少なくとも2~3日以内迄には、借りれます。
当座貸越契約をしていれば、
普段から借入金を抱える必要はありません。
取り急ぎの資金が必要な時だけ、銀行に連絡して、
上限範囲内の金額で借りればいいのです。
そうしておけば、
普段から現預金や借入金の残高が必要以上に多い、
ということはなくなります。
総資産を小さくしておくことができるのです。
総資産が小さければ、
自己資本比率、総資産経常利益率など、
経営指標が良くなります。
そして何より、
余計な金利を日ごろから支払うことはないので、
金利での現金流出を減らすことができます。
当座貸越契約は、銀行との契約のなかでは、
ハードルが高い契約です。
「当座貸越契約をお願いします。」
と要望するところから始まりますが、
「はいわかりました。」とすぐにはなりません。
銀行審査部を通して、当座貸越契約の承認が必要になります。
さらにその際に、上限いくらまでなら当座貸越契約OKなのか、
が判定されます。そのあと、金利の条件設定に入ります。
こちらが1億円で上限設定をお願いします、
いっても額を決めるのは銀行側になるのです。
もちろん、財務状況がよく、
格付け(スコアリング)が高い会社ほど、
スピーディーに当座貸越契約が決まりますし、条件もいいです。
逆に、当座貸越契約を申し入れて、銀行からNOの返事なら、
財務状況が悪い、と判断されている証拠です。
つまり、たいして信用されていない、ということです。
そういう会社には、短期借入金で対応したり、
定期預金を進めてきたり、するのです。
結局、借金をして現預金を過剰に抱えている会社は、
銀行のいいように転がされているだけです。
早くそのことに気づき、他の手立てに変えてほしいのです。
(古山喜章)
« いつか来る不況期への対策 固定費を下げる努力を惜しんではいけません | トップページ | なぜ、そんなに現預金を積み上げるのか② »
「銀行交渉」カテゴリの記事
- 新たな投資に備えて「銀行交渉」の力を磨きなさい➂(2023.11.29)
- 新たな投資に備えて「銀行交渉」の力を磨きなさい②(2023.11.28)
- 新たな投資に備えて「銀行交渉」の力を磨きなさい①(2023.11.27)
- 銀行融資の担保・個人保証はすぐに外しなさい④(2023.07.14)
- 銀行融資の担保・個人保証はすぐに外しなさい➂(2023.07.13)
« いつか来る不況期への対策 固定費を下げる努力を惜しんではいけません | トップページ | なぜ、そんなに現預金を積み上げるのか② »
コメント