悩ましい株主はいませんか ➂
「実は、うちにはこんな株主がいて困っています。」
という相談を受けることが時々あります。
その多くは、先代からの負の遺産であったり、
やるべき処置を行っていなかった、というものです。
しかし、今の経営者や後継者にとっては、
悩ましい株主で、どうにかして解決したいのです。
➂株主不明の株があります(1)
ある社長から相談がありました。
「うちの株主名簿をみたら、株主不明の株があるんです。」
「不明?って、どういうことですか。」
「誰が持っているかわからない、という事みたいなんですが…。」
その社長は、先代から株式をじわじわと贈与され、
40%を持っておられました。
残りの60%は、先代の親族数名がお持ちでした。
その先代がお亡くなりになり、残りの60%をどうするか、
というタイミングで株主名簿を見たのです。
そのとき、“不明”と記載されていることに気づいたのです。
社長に聞きました。
「その“不明”というのは、何%あるんですか?」
「10%あります。」
「決算時に税務署へ提出する、同族判定の別表2には、
どう記載されているんですか?」
「あ、どうでしょう?確認してみます。」
となり、確認したところ、“その他”と書かれていました。
「なるほど、それはよかったです。
不明、なんて書かれていると、対応がやっかいですからね。」
もうひとつ、社長に確認しました。
「株主総会や配当は、これまでどうされてますか?」
「まったくやったことがないです。
取締役会も、一度もやったことないです。
議事録だけ、司法書士の先生にお願いして、作ってもらってます。」
やはり、というか、中小企業の法的意識は、
その程度のものなのです。
「社長、この件は他の誰かに相談しましたか?」
「いえ、誰にも相談しようがないので、してません。」
「じゃあ、この“不明”の株主がいる、
ということを知っているのは、どなたですか?」
「私と、総務の上田部長と、古山先生だけです。」
「会計事務所は?」
「担当も何度か変わっているし、
株主名簿なんて聞かれたことないので、知らないでしょうね。」
「ということは、知っているのは、
上田部長を含めてわれわれ3人だけですね。」
「そういうことです。」
「わかりました。それならなんとかなりそうです。」
「そうですか。よろしくお願いいたします。」
となり、“不明”株主を抹消する動きに入ったのです。
続く…。
(古山喜章)
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