悩ましい株主はいませんか ②
「実は、うちにはこんな株主がいて困っています。」
という相談を受けることが時々あります。
その多くは、先代からの負の遺産であったり、
やるべき処置を行っていなかった、というものです。
しかし、今の経営者や後継者にとっては、
悩ましい株主で、どうにかして解決したいのです。
②すでに亡くなっている株主がいます(2)
10年以上前に退職し、すでに亡くなっている、
2名の元社員の株主をどう処理するのか。
顧問税理士は、
「相続人のところに申し入れて、
会社で買いもどすように相談してください。」
というものの、そんなことをしたら、
株価を算定して高く買わねばならない、という危険があります。
その社長に聞きました。
「そもそも、その相続人の方は、
自分の親が株式を持っていた、という認識あるんですか?」
「ない、でしょうね。
あるなら、お二人とも亡くなって数年たっているのに、
なんらか問い合わせがあるでしょうから。」
「株主総会の通知も何も、これまで送っていないんでしょう。」
「一度も送ったことないです。」
「配当は?」
「配当もしたことないです。」
「だったら相続人だけでなく、本人さえ忘れていたんじゃないですか?
株主であることを認識する術が、何もないですからね。」
「そうなんですよ。たぶん、株主としての自覚がなかったと思います。」
株主としての扱いをまったくしていなかったのは、
よろしくないことではありますが、
この際でいえば、そのことが幸いしました。
社長に言いました。
「総務の幹部社員で、
亡くなられたお二人の株を継いでくれそうな人、おりませんか?」
「まあ、いますけど、どうするんですか?」
「今のうちに、名簿の名前をその社員に変えておいてください。」
「そんなことして、いいんですか?」
「何がですか?」
「会社法上、問題になりませんか?」
「何を言ってるんですか。
株主総会も何もやってこなかったことのほうが、
問題じゃないですか?」
「いや、そう言われると、そうですね。
正直、そのやり方で進めれるなら、助かります。
でも、顧問会計事務所がなんと言うか。」
「多少何か言うかもしれませんが、結局、見過ごしますよ。」
「そうですかね。」
「だって、そもそもこのことを放置してきたのは、
顧問会計事務所の責任でもあるんですから。」
となり、
亡くなられた少数株主の名前を現存の社員に変えたのです。
「このままだとまた同じことが起こるかもしれないので、
半年ほど経過したら、会社がその社員から買いましょう。」
と、社長に申し上げました。
その後、その社員から会社が額面で株式を買い取り、
株主名簿から少数株主は消えたのです。
相続人からは当然の事、
顧問会計事務所からも、何も言ってきませんでした。
結局、多くの会計事務所は税金のことを見るだけで、
株主のことなど、まったく気にしていないのです。
杓子定規な法律にとらわれることなく、
可能な策で柔軟に対応すればよいのです。
変に事を荒立てる必要は、ないのです。
(古山喜章)
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