悩ましい株主はいませんか ①
「実は、うちにはこんな株主がいて困っています。」
という相談を受けることが時々あります。
その多くは、先代からの負の遺産であったり、
やるべき処置を行っていなかった、というものです。
しかし、今の経営者や後継者にとっては、
悩ましい株主で、どうにかして解決したいのです。
①すでに亡くなっている株主がいます(1)
ある経営者から、相談を受けました。
「うちの株主名簿には、
すでに亡くなっている株主がいるんです。
どうしたらいいいのか・・・。」
過去にも、別の会社で同じ相談が度々ありました。
「それは、おひとりですか?」お聞きしました。
「いえ、二人いるんです。元社員です。
どちらも、会社設立時に株主が7人必要だったころの、
いわゆる名義株主です。
亡くなった先代に聞いた話では、お金は出していないそうです。」
これもまた、よくある話しです。
その経営者は続いて話しました。
「二人が退職した時に会社で買い取っておけばよかったのに、
誰も気づかず忘れていて、そのままだったんです。
で、お二人とも、退職後に10年以上経ってから、
お亡くなりになりました。」
「どうして気づいたんですか?」
「そろそろ私の相続を考えないといけない時期になってきて、
改めて株主名簿を見たときに、気づいたんです。
その時にはもう、亡くなってました。」
「そうですか。ということはこれまで、
株主総会の通知も出していなければ、配当もしていなかった、
ということですか?」
「恥ずかしながら、そうなんです。
それに、持っている株数はわずかなので、
決算書の別表2にも、記載していなかったんです。」
中小企業の多くは、株主総会はおろか、取締役会でさえ、
法律で定められたとおりに開催していません。
株主総会の招集通知を毎年、全株主に発送している会社なら、
すくなくともその時点で、
「この株主は退職したから買い戻さないと!」
となり、解決へと向かいます。トラブルには発展しないのです。
気になったのは、会計事務所の対応でした。
「顧問税理士事務所からは、何かアドバイスがありましたか?」
その経営者に尋ねました。
「それが、これを処理するには、
“亡くなった方の相続人のところへ行って、
会社で買い取らせてもらうよう、お願いしないといけないですねぇ。”
て言うんです。」
「えぇ!そんなことしたら、それこそ寝た子を起こすだけじゃないですか!」
「そうなんですよ!
そんな杓子定規なことしたら、やぶへびなだけだと思って、
先生に相談させてもらったんです。」
その会社の株価は額面の10倍近くになっています。
亡くなられたお二人は非同族株主なので、
法的には会社は額面で買うことが可能です。
とはいうものの、先方の相続人が了承すればの話しです。
相続人に話しを持ちかければ、
「えっ、そうなんですか。一度株価を算定させてください。」
となるのは見えています。
「そんなアホなことしないで、別の方法で解決しましょう。」
ということになったのです。(続く…。)
(古山喜章)
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